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ドルトムントCEOが語った経営と愛。
「日本人はそう思わないんですか?」
posted2017/07/22 11:30
text by
山口裕平Yuhei Yamaguchi
photograph by
Takuya Sugiyama
浦和レッズのホーム、埼玉スタジアム2002があれほど赤以外の色で染まるのは、代表戦を除けばあまり見られない光景だった。
香川真司が所属することで知られるドルトムントは、世界で最も観客数が多いサッカークラブであり、そして実は2000年代半ばには破綻の危機に瀕していたクラブでもある。
そのドルトムントを率いるハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEOは、経済的V字回復を果たした敏腕経営者である。しかし同時に、それ以上にサッカーを愛するごく普通のいちサッカー好きの側面も持ち合わせていることが、話を聞くうちにわかってきた。
ヴァツケCEOはサッカーのどこに惚れこみ、そしてどのようにドルトムントを現在の地位まで導いたのか。
――ドルトムントのファンは今や世界中にいます。先日も年間チケット保有者の99%以上が更新したというニュースがありました。人気の理由はどこにあるのですか?
「理由は“人と近い”ことにあります。このクラブは、普通の人たちの人生を反映しています。クラブは成功するために一生懸命働き、重圧と戦う。人々はその働きぶりを見て、このクラブは本物、オーセンティックだと感じるのです。我々はファンと“人と人”の関係性で接することを大切にしています。だからこそドルトムントは国内で1000万人、国外には1500万人のファンがいるのです」
――国内での地元密着と国際化、両立する上でどちらがベースになるのでしょう?
「地元こそがクラブの基盤です。“自分がどこから来たのか”を知るのは大事なことで、我々にはボルシク・プラッツ(クラブ発祥の地)というルーツがあります。大切なのは、そうしたルーツを去るのではなく“ホーム”にいることを感じることなのです。
しかし、同時に今はグローバル化の時代です。それはソーシャル・メディアを通して、世界中の人々、日本やアメリカの人々がクラブの中に入って来てくれることを意味します。地元はベース、国際化はチャレンジなのです。