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「破産寸前の無一文」だったドルトムント、「会長が優勝を祝うのも嫌がった」銀河系レアル… 暗黒期の真相とは 

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posted2021/04/14 17:00

「破産寸前の無一文」だったドルトムント、「会長が優勝を祝うのも嫌がった」銀河系レアル… 暗黒期の真相とは<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

豪華陣容だった“銀河系軍団”時のマドリーだが、ペレス会長との軋轢は絶えなかったようだ

<名言4>
会長は自分たちと一緒にリーグ優勝を祝うのも嫌がっていたから、とても夕食を楽しめるような雰囲気ではなかったよ。
(イバン・エルゲラ/NumberWeb 2021年3月1日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/847214

◇解説◇
 華やかなりしヨーロッパサッカー。日本人にとってそのインパクトを強烈に印象付けたのは、2000年から2000年代中盤にかけての「銀河系軍団」レアル・マドリーだ。

 フロレンティーノ・ペレス会長のもと、宿敵バルサから引き抜いたフィーゴ、80億円超もの移籍金を積んでユーべから獲得したジダン、そしてロベルト・カルロス、ラウール、ロナウドらが並ぶ陣容はまさに豪華絢爛。日韓W杯で大ブームとなったベッカム獲得の2003年夏が、煌めきのピークだったと言える。

 ただベッカムの獲得前の時点から、チーム内には断層があった。

「みなが続投を望んでいたのに、クラブはデルボスケを切るつもりだった」

 センターバックとボランチを務めるポリバレント性を武器に、チームを渋く支えたエルゲラは現地紙「AS」の記者にこう明かしたことがある。

 2002-03シーズンのマドリーはホームで開催された最終節でラ・リーガ優勝を決め、歓喜に沸くはずだった。

 しかし、数々のタイトルをもたらした名将ビセンテ・デルボスケの続投をクラブ首脳陣が拒んだとの報が選手たちの耳に入り、腹を立てた彼らはセレモニーでのグラウンド周回をボイコットした。

 対立は続く。祝勝感に満ちるはずの夕食会で、当時キャプテンのイエロとペレス会長が“舌戦”を展開。この衝突が原因となり、イエロは退団。またジダンらを影で支えた名脇役マケレレもチェルシーに去ったのだ。

 バランス調整役を失ったマドリーは“前輪駆動”になりすぎ、なおかつブラジル代表監督を務めたルシェンブルゴ新監督はフィーゴから「最低の監督」と言われる始末。宿敵バルサがライカールト体制の元で強さを取り戻していくのと反比例するかのように、下降線をたどっていった。2006年2月、辞任会見に臨んだペレス会長はこんな言葉を残した。

「恐らく私は選手たちを甘やかし過ぎ、勘違いさせてしまったのだろう。今は彼らに、唯一の重要な存在はレアル・マドリーなのだと伝えたい。その意味で、責任は全て私にある。レアル・マドリーは変化を必要としている。今、このタイミングで身を引くべきだった」

 2009年、ペレスは会長に復帰。第2期体制も、就任早々にクリスティアーノ・ロナウド、カカらビッグネーム、ロシアW杯以降はクルトワ、アザールらを獲得した。

 その一方でアセンシオ、ビニシウス、ロドリゴ、久保建英といった有望株の保有権を得て、カゼミーロやバルベルデといった実力者を正当に評価するなど、中長期的な視点を持っている。かつての混乱を知るジダンが監督を務めているからという側面もあるが、ペレス会長も同じ轍を踏まないように心に留めているはずである。

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