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「破産寸前の無一文」だったドルトムント、「会長が優勝を祝うのも嫌がった」銀河系レアル… 暗黒期の真相とは
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/04/14 17:00
豪華陣容だった“銀河系軍団”時のマドリーだが、ペレス会長との軋轢は絶えなかったようだ
<名言3>
僕は“リバプールの伝説”と肩を並べられる選手になりたいんだ。
(スティーブン・ジェラード/Number678号 2007年5月10日発売)
◇解説◇
20-21シーズンこそ苦しい戦いが続いているとはいえ、ここ数年での“世界最強クラブ”として挙げるべきはリバプールであることは間違いない。
クロップ監督の情熱的な指導のもと、アグレッシブなハイプレスで相手を追い込む戦術の緻密さ。そしてサラー、マネ、フィルミーノのフロントスリーやアレクサンダー・アーノルド、ロバートソンの両翼が相手ゴールに襲い掛かるスピード感はサッカーを新たな次元に導き、19-20シーズンには同クラブにとって89-90シーズン以来となる国内制覇を成し遂げた。
一方で現役時代、プレミア制覇に届かなかった“悲劇の象徴”と言えばジェラードだ。
リバプールのアカデミーで育ち、10代だった1998-99シーズンにトップチームでデビューを飾ると、2000年代からはレッズ盤石のレギュラーとして中盤に君臨した。2000-01シーズンのUEFA杯・FA杯・リーグ杯のカップ戦三冠、04-05シーズンの「イスタンブールの奇跡」でCL優勝に導くなど、リバプールの伝説になりたいと願ったジェラードにも栄光の時は訪れている。
しかし彼を語るうえでどうしても触れなければいけないのは、2014年4月27日の“あのスリップ”である。
プレミア第36節、リバプールvsチェルシー。3試合を残した時点で首位に立っていたリバプールにとって、勝てばプレミア制覇に大きく近づく大一番だった。スコアが動かないまま迎えた前半アディショナルタイム、味方の横パスを受けようとしたジェラードのボールコントロールがわずかにずれて立て直そうとした瞬間、足を芝に取られ……。その数秒後、チェルシーのデンバ・バがゴールネットを揺らし、聖地アンフィールドは静寂に包まれた。
結局このゴールが決勝点となり、リバプールは敗戦。そのダメージは想像以上に大きく、次節のクリスタルパレス戦も3-0とリードしながら3-3に追いつかれる痛恨のドローで、事実上の終戦を迎えてしまった。
愕然とするジェラードの姿に涙した人は数多いだろう。その悔しい歴史を共有しているからこそ、ジェラード後のリバプールはさらに強くなれたのかもしれない。そしてジェラード自身も引退後、指揮をとるスコットランドのレンジャーズをリーグ優勝に導き、名将への一歩を踏み出している。