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“中量級”の久保建英は「使う側」へ行くべき… 重視すべきモドリッチ&シルバと同じ資質とは【ヘタフェで苦戦中】 

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吉田治良

吉田治良Jiro Yoshida

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photograph byMutsu Kawamori

posted2021/03/04 17:01

“中量級”の久保建英は「使う側」へ行くべき… 重視すべきモドリッチ&シルバと同じ資質とは【ヘタフェで苦戦中】<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

高いスキルを、どう試合結果に直結させるか……それこそ久保建英が現状乗り越えるべき課題だろう

 19歳という成長段階では、試合に出て実戦経験を積むことがなにより大切なのだ──。確かにそうかもしれない。ヘタフェ移籍直後に僕は、「久保はビジャレアルに留まるべきだった、これは安易な妥協ではなかったか」とこのコラムで書いて、多くの反論を頂戴した。

 けれど、久保とヘタフェのプレースタイル的な相性が、水と油と言っていいくらいマッチしないことは、繰り返すが、当時から誰もが分かっていたはずなのだ。

 試合に出られるならどこでもいいわけではない。どんなに空腹だからといって、拒絶反応を示すようなアレルギー食材を口にしては、それこそ命に関わる。

 ヘタフェという、あえて自分のスタイルには合わないクラブで、守備やハードワークの重要性を学ぼうという判断基準が、もしかしたらあったのかもしれない。けれどそれは、果たしてビジャレアルにいてはできなかったことなのか。ウナイ・エメリ監督は、久保の守備面での成長を望んでいたし、たとえ試合に出られなくても、日々の練習の中でそれをアピールする機会は皆無ではなかったはずだ。

ビジャレアルはすっかり勝てなくなってしまった

 奇しくも久保が去った後のビジャレアルは、ラ・リーガですっかり勝てなくなってしまった。1月20日のグラナダ戦からの7試合は、5分け2敗。コパ・デル・レイでも格下と思われたレバンテに準々決勝で屈している。もしチームに留まっていれば、久保にもチャンスが巡ってきたのではないか。

 その一方で、ELの舞台では決勝トーナメント1回戦でザルツブルクを倒し、ラウンド16進出を決めている(対戦相手はウクライナのディナモ・キエフ)。痺れるような一発勝負の緊張感も、ビジャレアルにいたなら味わえた可能性があったのだ。

 ただ、いつまでも「タラレバ」の話をしていても仕方がない。この先、久保建英というタレントがヨーロッパのトップクラブで主役級へと上り詰めるには、何が必要なのかを考えることが──日本代表の未来にとっても──大切なのだ。

【次ページ】 ムバッペ、ハーランドとは“階級”が違う

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