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セリエA監督今季6人目のクビ…“1300km自転車男”など 降格阻止を託された男たちの明暗
posted2021/03/05 17:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
3月1日、セリエAで最下位のクロトーネがストロッパ監督を解任した。
同じく降格圏に沈む18位カリアリを迎えた24節のホームゲームに0-2で敗れ、ついに御役御免。同節終了時点でリーグ最多62失点、勝ち点12のクロトーネは、“地方クラブの助っ人指揮官”と評価されるコズミ監督の招聘を発表している。
今季の監督交代はスローペース?
少々意外だが、今季のセリエAで監督交代に踏み切ったクラブは、2月末の時点で5つに留まっていた。最終的に13人の指導者が職を失った昨季、5人目の解任が11月下旬だったことを考えると、かなりのペースダウンだ。
“監督喰らい”と呼ばれたザンパリーニ(パレルモ)やスピネッリ(リボルノ)といった曲者会長たちが、シーズン序盤から躊躇なく監督のクビを切りまくっていたのがそう遠くない昔だと思えば、解任ペースのスローダウンはちょっとした事件と言えなくもない。
劇薬投入。5クラブで分かれた“明”と“暗”
監督交代は強力なカンフル剤である。
ただし、低迷する流れを無理やり変えようとする力技だから、断行するクラブは人選やタイミングを慎重かつ大胆に見極めなくてはならない。
シーズンの3分の2を消化しようかとする今、監督交代に踏み切った5つのチーム――フィオレンティーナ、ジェノア、パルマ、トリノ、そしてカリアリ――の明暗はくっきりと分かれている。
“大成功”のジェノア
監督交代が最も吉と出たのは、ジェノアだろう。
開幕3週間前に慌ただしくマラン新監督を迎えた古豪は、予期せぬ新型コロナウイルス感染クラスターに見舞われたこともあり、12月中旬までに8つの黒星を喫し、19位に低迷。たまらずフロントは、クラブ馴染みの中堅指導者バッラルディーニをクリスマス前に呼び寄せた。
2018年の秋以来、ジェノアで実に4度目の指揮を執ることになったバッラルディーニは、勝手知ったる古巣で即座にロッカールームを掌握。就任2日後のスペツィア戦でいきなり白星をあげると、強敵ナポリ撃破を含む3連勝でチームを13位にまで引き上げている。