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“中量級”の久保建英は「使う側」へ行くべき… 重視すべきモドリッチ&シルバと同じ資質とは【ヘタフェで苦戦中】
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byMutsu Kawamori
posted2021/03/04 17:01
高いスキルを、どう試合結果に直結させるか……それこそ久保建英が現状乗り越えるべき課題だろう
ヘタフェでの出番が限られるようになって、移り気なメディアが久保を取り上げる機会も減少傾向にある(ゴールでも決めればすぐにまた飛びつくのだろうが)。そして、例によって新しいスターを求め、樺山や、マドリーの下部組織に籍を置く“ピピ”こと中井卓大(17歳)のような逸材に目を向け始めるのだ。
けれど久保は、日めくりカレンダーのように簡単に破り捨てられるような“古い日付”では断じてない。ここからもうひと皮やふた皮は、間違いなく剥けるはずだ。
ムバッペ、ハーランドとは“階級”が違う
もっとも、現状のままではマドリーへの復帰は夢のまた夢だろう。正直なところ、チャンピオンズリーグにおける同年代のモンスターたちの圧倒的なパフォーマンスを見れば、彼らと同じ土俵に立って勝負できるとは到底思えない。マドリーの獲得リストの上位にも名前が挙がる、キリアン・ムバッペ(22歳/パリ・サンジェルマン)やアーリング・ハーランド(20歳/ドルトムント)とは、実力と実績の双方で大きな開きがある。
だが、そもそも彼らとは“階級”が違うのだ。同じようにヘビー級のチャンピオンを目指す必要はない。ウェルター級かライト級あたりの久保が活路を見出すとすれば、やはり「使われる側」から「使う側」へ、「決める側」から「決めさせる側」へのモデルチェンジを急ぐべきではないか。
久保の適性、実はインサイドハーフでは?
右サイドか左サイドかで議論になる久保のポジションだが、個人的にはインテリオール(インサイドハーフ)で使ってほしいと思っている。
技術レベルはラ・リーガでもトップクラスだろうが、やはりサイズ的なハンデもあって、常にサイドで屈強なDFとのマッチアップを強いられる状況は、彼にとって理想的とは言えない。むしろその視野の広さや状況判断の速さ、ライン間でボールを受けてエリア内に侵入する感覚は、中央でこそ活かされる。
イメージするのは、レアル・ソシエダのダビド・シルバであり、マドリーのルカ・モドリッチだ。