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今季限り“世界一過酷なリーグ戦”に 2021年のJ1「全20チームが攻略すべき」2つのイレギュラー
posted2021/02/26 17:20
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
JIJI PRESS
2021年のJリーグは、いつもと景色がだいぶ異なる。
18チームから2チーム増えて全20チームによるリーグ戦で、自動降格枠は史上最多の4チーム。7月には東京五輪が開催予定で約1カ月中断が予定されている。新たにVAR(ビデオアシスタントレフェリー)も導入される。
様々な“イレギュラー”が重なる今季のJリーグ。全20チームが攻略すべき難しさとは何だろうか?
その1)自動降格が2倍の「4チーム」に
今季の一番大きな特徴は、「4チームが自動降格すること」だろう。
例年では、ワースト1位と2位の2チームが自動降格で、3位のチームは入れ替え戦に回り、勝てば残留できるというルールだった。しかし、昨季にコロナ禍の影響を受けて「J1からの降格なし&J2からは2チーム昇格」にレギュレーションを変更したことを受けて、今季の自動降格枠が増加した。
スペインリーグやプレミアリーグ、セリエAなど欧州トップリーグの自動降格枠は3チームなので、今季に限って「Jリーグは世界でも最も過酷で厳しいリーグ戦」だと言える。
しかも今年は「J2降格によって受けるダメージ」が通常より大きい。
J1→J2に降格すると「なにが変わるの?」
そもそもJ2に降格したら、どうなるのか。まずJ1在籍時よりも入場者が減り、それにともなって飲食やグッズの売り上げも減少する。全体の収益はかなり下がる。
また、毎年各クラブには、Jリーグから「均等分配金」というものが支給されるのだが、J2で戦った翌年はJ2基準の1.5億円になる。J1基準だと3.5億円なので2億円もさがってしまうのだ。この差は非常に大きく、選手周りの環境などにも影響は及ぶ。
例えば、新幹線のグリーン車から普通車やバスでの移動がメインになったり、試合開催地によっては後泊をなくし、深夜にバスでクラブハウスに戻ってくることもあるかもしれない。当然、選手の年俸にもメスが入り、高給な選手は大幅減や移籍ということにもなりかねない。
クラブにとっては、何ひとついいことがないのだ。
ただでさえコロナ禍で苦しいなか、自動降格枠が広がる“地獄のJリーグ”。残留争いは一層激しさを増すだろう。