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リバプールの“急所”はCBだった 守備陣だけでなく中盤・前線も大ダメージのメカニズム…CLで逆襲可能か? 

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三重野翔大

三重野翔大Shodai Mieno

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posted2021/02/15 17:01

リバプールの“急所”はCBだった 守備陣だけでなく中盤・前線も大ダメージのメカニズム…CLで逆襲可能か?<Number Web> photograph by Getty Images

レスター戦を落とし、ついに3連敗を喫したリバプール。CBの負傷者続出によって、大きなダメージを受けている

最終ラインの問題点は大きく2つある

 ディフェンスラインに関しては大きく2つ。高さ、そしてカバーリングだ。

 やはり193cmのファンダイクが放つ絶大な安心感が失われたことで、セットプレー含めクロスへの対応全般で不安を抱えている。事実、南野拓実がサウサンプトンに貸し出された際、彼の出場時間が少なかった理由についてユルゲン・クロップは「サイズが理由だったこともある」と話した。

 プレミアリーグにはリバプール戦では90分のほとんどで守備に徹し、攻撃はセットプレー頼みというクラブも少なくない。ただでさえ高身長の選手が少ないレッズにとって、本職のCB不在は他のクラブ以上に大きな悩みだ。

守護神アリソンのミスと断定するのは無責任

 そしてもうひとつのカバーリング。両サイドバック、そして自らとゴールキーパーとの間に出てくるボールへの対応だ。高さに加えて強さ、そして速さも兼ね備えるファンダイク、元々サイドバックの選手だったゴメスがいたからこそ安定していた部分だと言っていい。

 バックライン裏のスペースへの対応というのは単に足の速さで解決されるものではない。ラストパスが出るタイミングやパスコースの予測、タックルで止めるのか、攻撃を遅らせて味方の戻りを待つのか、クリアするのか繋ぐのか、本職のCBだからできることがたくさんある。

 ゴールキーパーとのコミュニケーションもそうだ。裏に出たパスをどちらが処理するのか。レスター戦の2失点目は新加入でデビュー戦のオザン・カバクだからこそ生じた連係ミスで、あれを「アリソンのミス」と断定し、批判するのは無責任な話なのである。

アーノルドのクロス成功本数にも影響が

 カバーリングへの不安は攻撃の武器にも響いている。ここまで22試合に出場しているトレント・アレクサンダー・アーノルドは、31本のクロス成功を数えるが、実は1試合あたり1.3本という数字、ここ3シーズンで最も低いのだ(18-19シーズンは2.0本、19-20シーズンは2.1本)。

 2季連続で2桁アシストを記録してきた右サイドバックも、今季はここまで3アシスト。カウンターを気にするあまり、攻撃参加に対して昨季や2シーズン前に比べて慎重になっている印象だ。

【次ページ】 本職中盤のファビーニョとヘンダーソンがDFでは

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