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工藤公康も斉藤和巳も「カーブだけは別物」の深い意味 ホークスキャンプで1日150球カーブを猛練習したのは?
posted2021/02/10 17:02
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
KYODO
かつてホークスの大エースだった斉藤和巳さんからこんな話を聞いたことがある。
「キャンプでは真っすぐとカーブしか投げへん。他の変化球ならばいつでも投げられるから。スライダーはオープン戦の3試合目ぐらいでやっと投げるし、フォークなんて挟めばエエだけだから(笑)」
スライダーやシュートは指を少し横にずらして真っ直ぐと同じように腕を振ればいい。また、落ちる系の球種も投げる感覚はストレートとさほど変わらないというのが持論だった。
しかし、カーブという変化球だけは別物、と言っていた。
工藤監督も「カーブは重要」
ピッチャーによって様々だが、ストレートは投げる時の感覚を「押す」とか「切る」とか表現するのに対して、カーブは「抜く」という言葉を用いることが多い。
親指と人差し指の間からスポンと抜く。一度浮き上がったところからググっと曲がり落ちてミットに収まるのが理想の軌道になる。
工藤公康監督もまた現役時代は最高のカーブの使い手だった。そして監督となってからは投手陣にたびたびカーブの重要性を説いている。カーブを使えば緩急差が生まれるのはもちろん、浮き上がるボールを打者に追いかけさせることで顎が上がるなど打撃の形を崩す効果も期待できる。
それらに加えて、カーブは投手自身のフォーム修正に有効な球種でもある。体の開きが早すぎるとカーブは曲がらない。しっかりカーブが曲がる投げ方を体に覚えさせて、その感覚のままでストレートなど違う球種を投げるという練習法はプロの世界でも一般的に行われている。
36球+119球、カーブ、カーブ、カーブ…
今年、とことんカーブと向き合っている投手が、ホークスのキャンプにいる。
サブマリン右腕の高橋礼投手だ。