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工藤公康も斉藤和巳も「カーブだけは別物」の深い意味 ホークスキャンプで1日150球カーブを猛練習したのは?
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2021/02/10 17:02
ソフトバンク宮崎キャンプ 。ブルペンで投球練習する高橋礼
2月2日、キャンプ2日目のブルペンがそれを象徴していた。72球を投げておよそ半数をカーブに費やした。「(キャンプ初日の)昨日は全然ストライクが入らなかった。今日は5球に2球は入ったかな」と投げ終わった直後に一定の手応えを得たような表情で話していたが、やはりストライク率4割では満足できない。しばらくして再びブルペンに足を運ぶ。「おかわり」ピッチングは129球に及んだ。
その内訳がすごかった。捕手が座った状態で投げたストレートは10球のみ。残る119球は、すべてカーブが占めた。
「牧田さんから教わったカーブを、モノにしないといけない。とにかく数を投げる。ブルペンだけではなく、キャッチボールから意識をして取り組みたい」
楽天のサブマリン右腕、牧田和久から直接カーブの投げ方を教わった。
それは念願だった。「アンダースローにしか分からないことがある」「吸収する立場になるけど、いつか話し合える場ができれば」と以前から牧田にラブコールを送っていた。前年はメジャーから帰ってきたばかりでスケジュールが合わなかったが、改めて今オフもお願いして快諾を得た。そして牧田が同じくサブマリン右腕の西武・與座海人を誘ったことで、球界で希少な同志3人が年明けに関東地方に集って10日間の自主トレ合宿を行ったのだ。じつに濃密で収穫ばかりの日々だった。
「今まで投げてきた感覚を共有していただいた」
「(具体的に)牧田さんから教わったのは…」
高橋礼は2年前のプロ2年目だったシーズンに先発で12勝を挙げてパ・リーグ新人王に輝いた。しかし、昨年は春季キャンプ中に左太もも裏を痛めた影響からリリーフで開幕を迎えた。当初は先発復帰を見据えた暫定措置だったが、チーム事情からそのまま主に7回のマウンドを任されるセットアッパーとしてシーズンを過ごし、昨季は52試合に登板をした。
今季については「先発の枠にしっかり入っていきたい」と明言。工藤監督からも「先発のつもりで準備をしてほしい」と言われている。