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ドラ1級の本格派、大阪桐蔭Wエース、193cm右腕…センバツはこの投手を見よ!《歴代優勝投手リスト付き》 

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西尾典文

西尾典文Norifumi Nishio

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posted2021/01/30 17:03

ドラ1級の本格派、大阪桐蔭Wエース、193cm右腕…センバツはこの投手を見よ!《歴代優勝投手リスト付き》<Number Web> photograph by PABB-lab

最速154キロを誇る右腕・関戸康介、大型左腕として注目を集める松浦慶斗。好投手を揃える大阪桐蔭は優勝候補筆頭だ

 そして、今年の出場校の中にも、プロに進む可能性が高い投手は多く存在している。まず、昨年秋のピッチングから双璧と見られるのが小園健太(市立和歌山)と畔柳亨丞(中京大中京)の右腕2人だ。

 小園は入学前から大器と評判で、選抜帰りのチームでも1年春からマウンドを任されている。最速152キロという数字が先行して報道されているが、それ以上に際立っているのが投手としてのセンスの高さだ。同じストレートでも場面と相手によってスピードに変化をつけ、打者の手元で鋭く変化するカットボールと2種類のツーシームを自在に操る投球は高校生離れしたものがある。より多く速いボールを見せてほしいという声もありそうだが、勝てる投球ができるという点はスピード以上に貴重な能力とも考えられるだろう。

 一方の畔柳は一学年上に高橋宏斗(中日1位)など力のある投手がいたことで本格的なデビューは新チームからだったが、秋はそんな経験不足を感じさせない見事な投球を見せた。

 圧巻だったのが選抜出場に大きく影響する東海大会準決勝の三重戦。立ち上がりから最速147キロをマークしたストレートとスライダーで内角を強気に突き、7回を被安打わずか1、11奪三振と全く危なげない内容でチームをコールド勝ちに導いてみせたのだ。身長は177cmと先輩の高橋よりもひと回りサイズは小さいものの、躍動感あふれるフォームと鋭い腕の振りは引けをとらないだけのものがある。2年秋時点での完成度では高橋を上回っていることは間違いない。

大阪桐蔭の2枚看板、193cmの天理・達

 この2人に続く存在になるのが右腕では関戸康介(大阪桐蔭)、達孝太(天理)、左腕では松浦慶斗(大阪桐蔭)、木村大成(北海)になりそうだ。

 昨年秋までの時点で全国でも最速と言われている154キロをマークしているのが関戸だ。ただ、これはいわゆる“瞬間最大風速”的な数字であり、アベレージでは140キロ台前半から中盤というのが現状である。中学時代から大器と評判だったが高校では小さい故障が多く、秋も万全の状態ではなかった。そんな状態でも154キロという数字を叩き出しているところには潜在能力の大きさを感じる。春までにどこまで状態を上げてくるかに注目だ。

 身体的なスケールの大きさでナンバーワンと言えるのが193cmの長身を誇る達だ。これだけの身長がありながら、体の使い方にギクシャクしたところがないのが特長で、近畿大会の初戦ではわずか104球で1失点完投勝利をマークしている。腕の振りの強さがまだまだなく、スピードも140キロ程度が大半だが、長身に見合うだけの筋力がついた時にどんなボールを投げるのか。楽しみの尽きない素材である。

 好素材が揃う大阪桐蔭でも早くからマウンド経験を積んできたのが松浦だ。大型サウスポーにありがちな粗っぽさがなく、バランスの良いフォームで楽に腕を振って角度のあるボールを投げることができる。長いイニングを投げる時は140キロ程度だが、最速は150キロをマークしているように馬力も申し分ない。プロからの評価が上がりやすい大型左腕だけに、選抜での活躍次第では一躍ドラフトの目玉になる可能性もありそうだ。

北海・木村はオリックス田嶋のように

 完成度の高さでは木村も負けていない。少し肘の位置が低いスリークォーター気味のフォームだが、シャープな腕の振りが特長。秋の北海道大会では準決勝を被安打3、10奪三振、翌日の決勝も被安打2、11奪三振で連続完封をマークしている。アベレージは130キロ台後半だが勝負どころでは140キロを軽く超え、変化球の精度も高い。順調にいけば田嶋大樹(オリックス)のようなサウスポーに成長することも期待できるだろう。

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