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センバツで見逃せない「5人のドラフト目玉候補」は? イチオシは“和歌山の怪腕”&東京の“独特サイドハンド”も
posted2021/01/30 11:05
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
「2021センバツ」の出場校32校が決定した。
コロナは、いまだ猛威を振るっている。「春はセンバツから」という言葉もあるように、世の中にとって、いくらかは明るい話題をもたらしてくれればと思う。
昨年のセンバツは中止になって、夏に「交流試合」として甲子園で1試合ずつ行われたが、「最近10年でいちばん見たいセンバツ」と位置付けていた通り、とてもレベルの高い大会だった。そして「2021センバツ」も昨年にまったくヒケをとらないほどに、ハイレベルな大会になると見ている。
その理由の1つが、出場校の「投手力」の高さだ。今秋のドラフトで1位ないしは2位での指名が予想される投手が、4人も5人も出場してくるのだから、そりゃあ目が離せない。
中京大中京・畔柳亨丞、大阪桐蔭・関戸康介、松浦慶斗、市立和歌山・小園健太、天理・達孝太……さまざまなメディアで、すでに、投手としての「人となり」は伝えられている。
そこでこのコラムでは、私のひいき選手の中から、「この選手は!」と推したいドラフト候補を5人挙げていきたい。
(1)「イチオシの怪腕」小園健太投手(市立和歌山)
そうはいっても、市立和歌山・小園健太投手(185cm85kg・右投右打)には触れないわけにはいかない。私の今季イチオシの怪腕だからだ。
「和歌山」といえば智弁和歌山であろう。その牙城を昨秋だけで3度も崩したのだから、「あっぱれ!」以外の何ものでもない。その智弁和歌山戦“3勝”の原動力になったのが、エース・小園健太の奮投だった。
2戦目の序盤に投球の軸になる速球を狙い打ちされ、際どく接戦を切り抜けると、3戦目の近畿大会では4安打完封の返り討ち。その勝負根性はアマチュアの域を超えていた。
最終回まで145キロ前後をマークできるのは、スタミナもあるのだろうが、打者の技量や状況を見極めながら、出力のギアを塩梅できるからだ。カットボール、ツーシームは、おそらく「打たれるわけがない!」と思いながら低めに投げ込んで、実際、高校生には手の出ないボールになっている。
ムダに力まないからフォームに体の使い過ぎがなく、球道の乱れも少なく、捕手からの返球を受けると即サインをもらいにいく軽快なテンポも、バックは守りやすいし、相手には嫌な「圧」がかかる。
現状、ケチのつけようなし。今年いちばん受けてみたい投手、話をしてみたい球児の最右翼だ。