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武豊も強さに呆れた!? クロフネ、衝撃の武蔵野Sを振り返る…ダートでは“超ワールドクラス”だった【追悼】
 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/01/23 17:01

武豊も強さに呆れた!? クロフネ、衝撃の武蔵野Sを振り返る…ダートでは“超ワールドクラス”だった【追悼】<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

武蔵野ステークスに続きジャパンカップダートも圧勝したクロフネはその後種牡馬としても活躍した

 さらにドラマチックなことに、翌日の天皇賞・秋で、クロフネにダート路線を歩ませる格好になったアグネスデジタルが勝利をおさめたのだ。

 これぞ究極の「ウイン・ウイン」だ。2頭の外国産馬の路線が交差し、同じ週末にそれぞれダートと芝で自身の力を最大限発揮する舞台を見いだしたのだから。

ドバイも期待されたが引退。産駒にはソダシらが

 クロフネは次走、東京ダート2100mのジャパンカップダートでも、早めに動いて先頭に立つ別次元の競馬を見せ、7馬身差で圧勝した。これも従来の記録を1秒3更新する、2分5秒9というレコードだった。

 2番人気に支持されていたアメリカのリドパレスは8着に終わった。チリでGIを4勝し、4歳になったこの年アメリカに移籍。7月にサラトガ、9月にベルモントパークでGIを制し、日本に乗り込んできた。騎乗したジェリー・ベイリーは、「とにかく勝った馬が強かった。13馬身ほども離されたのだから、何も言い訳にはならないよ」と、お手上げだった。

 芝でも一流のクロフネが、ダートでは超ワールドクラスであることが証明された。

 この馬なら翌年のドバイワールドカップやブリーダーズカップでも突き抜けるのでは、と期待されたが、屈腱炎のため引退、種牡馬となった。

 初年度産駒のフサイチリシャールが朝日杯フューチュリティステークスを勝つなど、種牡馬としても順調なスタートを切った。スリープレスナイト、カレンチャン、ホエールキャプチャ、ホワイトフーガ、アエロリットなど、GIを勝った産駒には牝馬が多い。昨年、白毛馬として史上初のGI制覇をなし遂げたソダシが、最後から2世代目の産駒である。

 また、昨年の香港カップを勝ったノームコアや、5戦5勝のレイパパレなどの母の父でもある。このように、強い牝馬に血が入っていると、後世にその血が残りやすくなる。

 キャリア10戦のうち4戦でレコードを叩き出し、芝でもダートでも、速く、強かった。異次元の走りを見せてくれたクロフネの血は、日本の競馬界をさらに底上げしていく確かな力になるだろう。

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