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武豊も強さに呆れた!? クロフネ、衝撃の武蔵野Sを振り返る…ダートでは“超ワールドクラス”だった【追悼】
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph bySankei Shimbun
posted2021/01/23 17:01
武蔵野ステークスに続きジャパンカップダートも圧勝したクロフネはその後種牡馬としても活躍した
GI初参戦のNHKマイルカップでは武豊が騎乗
年明け初戦の毎日杯では四位洋文が手綱を取り、楽に先行して5馬身差で完勝。重賞初制覇をなし遂げた。
次走は5月6日の第6回NHKマイルカップ。GI初参戦だったことに加え、2着以内ならダービーへの出走権が得られる大事な一戦である。新たな鞍上として、この年からフランスに騎乗ベースを移していた武豊を迎えた。
単勝1.2倍の圧倒的1番人気に支持されたクロフネは、道中は後方の内に待機。直線で馬群の間を割り、馬場の真ん中から大きなストライドを伸ばし、ゴール前ではかったように2着馬を差し切った。これがクロフネにとってのみならず、管理する松田にとっても嬉しいGI初制覇となった。
しかし、中2週で臨んだダービーでは直線で伸び切れず、5着。武によると、敗因は距離ではなく、「なぜかあのときは走ってくれなかった」のだという。
天皇賞・秋の出場枠から弾き出されたクロフネは
秋初戦の神戸新聞杯では蛯名正義が騎乗して3着。
その後、天皇賞・秋を目標に調整されていたのだが、天皇賞に出走できる外国産馬の枠は2つしかなかった。うちひとつは、古馬GI戦線でテイエムオペラオーを相手に善戦していたメイショウドトウの指定席のようになっていた。そして、クロフネが確保すると見られていたもうひとつの枠を、南部杯を勝ったアグネスデジタルが確保したため、クロフネは弾き出される格好になったのだ。
これはルールに則ったことであるのに、あとから天皇賞出走を表明したアグネスデジタルの関係者は、一部のネットなどで悪者扱いされ、ひどい叩かれ方をした。
そうしてローテーションの見直しを迫られたクロフネ陣営が、天皇賞・秋に代わる舞台として選んだのは、東京ダート1600mの武蔵野ステークスだった。鞍上は、前週から日本での騎乗を再開していた武に戻った。