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ランパード解任論はあり得ない! コロナ禍での指揮官続投が新しいチェルシー像を確立できる根拠
posted2021/01/10 11:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
プレミアリーグの監督にのしかかるプレッシャーの大きさは、コロナ禍による“ニューノーマル”の世の中でも変わらない。
大きく持ち上げたかと思えば、いきなり叩き落とすようなメディアでの扱いは例年通り。ただし、ファンによる不信任の意思表示は従来にも増して厳しいようにも思える。昨季の終盤からほぼ一貫して無観客試合が続くなか、"ホーム"に通えないフラストレーションが、そうさせているのかもしれない。
本稿執筆時点での監督交代は、2部Uターン路線に乗ったウェストブロムウィッチのみ。スラベン・ビリッチが任を解かれ、サム・アラダイスが降格回避の望みを託された。だが、チームが調子を落とせば強豪でもシーズン前半戦にして監督更迭を求めるハッシュタグがトレンド入りしている。
2021年を首位リバプールと同勝ち点、得失点差の2位でスタートしたマンチェスター・ユナイテッドも、下位で過ごした開幕からの2カ月間は「#oleout」を含む投稿が、オレ・グンナー・スールシャールへのプレッシャーを増した。
昨年12月、アーセナルが降格圏に近い15位に低迷した際は「#artetaout」でミケル・アルテタがターゲットとなった。そのアーセナルがクリスマス翌日のチェルシー戦からリーグ戦3連勝を飾ると、今度は同月上旬に第3節からの連続無敗が途絶えた敗軍指揮官の「#lampardout」が頻出するようになった。
アブラモビッチ政権では早期解任がノーマル
さらに1月3日、第17節マンチェスター・シティ戦(1-3)でチェルシーがアーセナル戦と同じスコアで敗れると、フランク・ランパードは主要ブックメーカーの間で今季解任第2号の有力候補と目されるようになった。
解任確率の高さを意味するオッズは、同節時点で勝ち点2のみで最下位に沈むシェフィールド・ユナイテッドの指揮官、クリス・ワイルダーに次いで2番目。ロマン・アブラモビッチ政権下のチェルシーでは早期解任が“ノーマル”なためだ。
フロントが後任の人選に動き出したという噂も出ている。昨季開幕前にも候補とされたユベントス元監督マッシミリアーノ・アッレグリ、パリ・サンジェルマン前監督となって間もないトーマス・トゥヘルは、即座の招聘が可能な実力派候補だ。