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ランパード解任論はあり得ない! コロナ禍での指揮官続投が新しいチェルシー像を確立できる根拠
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/01/10 11:00
チェルシーのレジェンドであるランパード監督。彼の思い描くスタイルはピッチで具現化されるのか
チェルシーの場合、第17節で10位ウェストハムと同勝ち点ながら、4位トッテナムとの差も3ポイントしかない。消化試合数が1つ多い事実を差し引いても、十分に挽回可能な距離感と言える。
一時的だがリーグ首位に立ち、「優勝候補」と評されたのはひと月ほど前のリーズ戦(3-1)直後のこと。同じく昨年12月上旬、CLでもグループ1位となり16強進出を決めたチェルシー指揮官は、契約延長の可能性を指摘されていた。
当時、優勝は射程圏外と思われていたマンUが2位、残留争いの方が現実的とまで言われたアーセナルが11位にまで浮上している事実は、解任が危惧される監督であれチームを立て直せる証拠だろう。
失点数は昨季よりも減っている
ランパード自身にも、挽回可能を示唆する数字がある。
昨季は最大の弱点とも言われた失点数だ。第17節終了時点で「21」まで減っており、無失点試合も「3」から「6」へ増えた。GKエドゥアール・メンディ、CBチアゴ・シウバ、左SBベン・チルウェルの新守備陣3名は、揃ってパフォーマンスの改善に貢献している。
もっとも、補強予算の大半が攻撃タレントの獲得に費やされただけに、17試合を終えて「31」だった昨季と同レベルの「32」という得点数は、見返りが少ないとの見方はある。ティモ・ベルナー、カイ・ハバーツ、ハキム・ジエシュは、リーグ戦で合わせて6ゴール9アシスト。フロントが監督交代を検討する最大の要因と見られてもいる。
とはいえ、揃ってプレミア初体験のトリオをスムーズに適応させることは容易ではない。基本型が確立された中でのピンポイント補強ならまだしも、ランパード体制2年目のチェルシーは、指揮官の言葉を借りれば「積極的で躍動感のある、勇猛かつ迅速に攻めるサッカー」を実現する"器"を形成途中の段階だ。
新攻撃陣の適応は難易度を増している
加えて、スタイルや戦術の徹底よりも各自のコンディション管理を優先せざるを得ない日常となれば、新攻撃陣の適応促進は難易度を増す。
ベルナーは、3-0で勝った第7節バーンリー戦から再定着している4-3-3システムで、3トップの左を持ち場とする試合が続く。RBライプツィヒ時代に経験あるポジションではあるが、中央へのカットインや独走からゴールを陥れる姿が目立った古巣時代とは違い、チェルシーでは外に開いたままポゼッションの維持に貢献する役割も担う。