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ランパード解任論はあり得ない! コロナ禍での指揮官続投が新しいチェルシー像を確立できる根拠 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2021/01/10 11:00

ランパード解任論はあり得ない! コロナ禍での指揮官続投が新しいチェルシー像を確立できる根拠<Number Web> photograph by Getty Images

チェルシーのレジェンドであるランパード監督。彼の思い描くスタイルはピッチで具現化されるのか

 こうした展開はランパード自身も覚悟の上だろう。主力だったチェルシー時代に、ジョゼ・モウリーニョ(現トッテナム)やカルロ・アンチェロッティ(現エバートン)のように、クラブにタイトルをもたらした大物監督でさえ任期途中で職を追われる様子を目の当たりにしているからだ。

 両者が持たなかったクラブ・レジェンドとしての肩書きはあるものの、「特別扱いなど期待してもいなければ、してほしいと思ってもいない」とは、就任会見での本人の弁だ。

9位という現状の戦績は芳しくない

 マンCに敗れて9位に順位を下げた時点での戦績も芳しくはない。今季2敗目を喫した第12節エバートン戦(0-1)からの6試合で1勝1分4敗。最大18ポイントの勝ち点のうち4ポイントしか取れなかった。

 現状26ポイント。これはメディアが指摘する通り、新規補強ができなかった就任1年目の昨季の同節終了時よりも3ポイント少ない数字だ。

 今夏2億ポンド(約280億円)規模の補強を行ったクラブの経営陣には、軽視できないマイナスである。チェルシーは同節を計26ポイントで終えたシーズンで、CL出場を意味するプレミア4位以内につけた前例がない。

 一方、トップ4が危ぶまれたシーズン中の監督交代は5回あり、うち4回でCL出場権を獲得している。まさかの10位に終わった2015-16シーズンの他に、2011-12シーズンもリーグ順位は6位浮上が精一杯だった。それでも執念のCL初優勝で翌シーズンの防衛に挑む権利を得ている。

それでもトップ4が危ういわけではない

 ランパード体制継続では今季のトップ4フィニッシュが危ういのかと言うと、そんなことはない。まだまだ可能性は残されている。だから、解任説などとんでもないと思えるのだ。

 プレシーズンが不十分で、例年より1カ月遅い昨年9月の開幕当初から過密日程が続く今季、前年より獲得ポイント数が少ないチームはチェルシーだけではない。2強時代が続くと予想されたリバプールとマンCであっても、前者は16ポイント、後者は6ポイント(15試合消化時点)ずつ昨季の同時期よりも少ない。

 結果として今季は、異常なシーズンにおける異例の大混戦の様相を呈している。

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