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【波乱の箱根駅伝】最強世代「往路を走った1年生16人」の“明暗” 青学大・佐藤一世(4区)は「50点くらい…」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byYuki Suenaga
posted2021/01/02 20:10
3区を走った石原翔太郎(東海大)は1時間2分5秒で見事区間賞に
2位でタスキを受けた鈴木だが、後ろから前回の区間賞獲得者、東洋大の宮下隼人が迫ってきた。総合優勝を争うライバル。プレッシャーがかかる展開だった。
そして、抜かれた。
それでも、粘った。
山上りの場合、抜かれた場合に置き去りにされるケースが多い。スピード差が平地とは比較にならないからだ。
しかし、鈴木は宮下に食らいついていき、これでリズムを作った。
鈴木には、運があったと見るべきだろう。
中盤を過ぎ、宮下に引き離されたものの、1時間12分44秒の区間4位でフィニッシュ。
「向かい風が強くて、設定タイムよりも全然遅くて焦りました。東洋大の宮下さんに追いつかれましたが、冷静に対処することができたかなと思います」
及第点の走りかと思いきや、大八木弘明監督は、
「悪くはなかったですが、後ろから宮下君がきたので多少プレッシャーがあったのかと思います。並ばれたときは一緒に行かせてもらいましたが、鈴木にとっては良い勉強にはなったかなと思います」
と辛口論評。それだけ鈴木への期待が大きかったということだろうが、この走りを見ると、鈴木はあと3回、5区を担当しても不思議はないだろう。
しかも、先頭の創価大と2分21秒差に収めた。総合優勝のチャンスをつないだという意味でも、大きな仕事を果たした。
往路の1年生“16人中6人がひとケタ”
往路を走った1年生は、合計16人。
そのうち、区間ひとケタで走ったのは、2区の松山、3区の石原、4区の佐藤と、順天堂大の石井一希(ちなみにふたりは八千代松陰高の同級生)、5区では鈴木と、城西大の山本唯翔の6人。
今回は強風が吹いたことで難易度が高いレースとなったこともあり、納得のいく走りが出来た1年生は少なかっただろう。しかし、ここがスタートである。
あの瀬古利彦でさえ、早大1年の時には花の2区で区間11位にしか過ぎなかったのだから。
今年の1年生が4年生になるとき、箱根駅伝は第100回の記念大会を迎える。
2001年度に生まれた彼らの物語は、始まったばかりである