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FIFAのベストイレブンに選出! “いま一番トップに近い”熊谷紗希が語る「東京五輪で戦うことの価値」 

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了戒美子

了戒美子Yoshiko Ryokai

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photograph by熊谷選手提供

posted2020/12/30 06:00

FIFAのベストイレブンに選出! “いま一番トップに近い”熊谷紗希が語る「東京五輪で戦うことの価値」<Number Web> photograph by 熊谷選手提供

UEFAの選ぶCLベストメンバー、決勝での得点はCLベストゴールの2位などに選ばれている熊谷紗希選手

「だから、なんのために、どこに向けてこんなに(状態を)上げているのかわからない、みたいな。案外練習はきついし(笑)。でも普段やらないようなこと、例えばずっと車庫でリフティングの技とか練習したり、そういう楽しみを見つけていました。

 そこからリーグ中止が決まって(5月15日に打ち切りとリヨンの優勝が正式決定)、こんなにトレーニングしてきたのになって、トレーニングを全くしない日もありましたよ。やってらんない、っていう精神的なキツさはあったかな」

 チームで練習できない期間、個人で自宅や公園などで取り組むメニューはクラブが組むのだが、この時期のトレーニング内容がハードだったというのは性別やリーグを問わず、多くの選手が語っていたことだ。メニューそのものだけでなくメンタル的にも簡単な期間ではなかっただろう。

「母国でオリンピックがあるなんて一生に一度あるかないか」

 多くのアマチュアスポーツにとってそうであるように、日本の女子サッカー界にとって東京五輪の意義は大きい。11年にW杯優勝、12年にロンドン五輪銀メダルを獲得してはいるが、あくまで一過性の人気と知名度を得ただけ。男子サッカーのように安定的な評価を確立するには、東京五輪は良いチャンスだ。

「日本の皆さんが女子サッカーを黙ってても見てくれる機会じゃないですか。そのなかで結果を出すことには意味があると思います。ピッチ上の話でいえば、あれだけ暑いなかホームでの試合が出来ることは絶対にアドバンテージになる。

 もちろん年齢的なこともありますが、母国でオリンピックがあるなんて一生に一度あるかないか。それを現役選手として迎えられるチャンスがあるのは私の中ではすごく大きな意味がありますね、今でも」

 “今でも”、と語尾を強めたのは、東京五輪が来年夏までの延期が決まってはいるなか、延期開催への逆風があることも、中止という選択肢があることもわかった上で、という意味だ。熊谷のように欧州のトップクラブで戦い、高い評価を受けているアスリートにとっても、母国での五輪はやはり特別なのだ。

「開催延期が決まった時は正直苦しかったけど、ネガティブになって落ち込むようなことはなかったですね。これで中止になったら悲しくてしょうがないけど、こればっかりはね……自分でどうにもできない。だから、どうしようもないことにストレス感じるのももったいないよねって思うようにしています」

【次ページ】 「どんな環境でも楽しめたら」

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