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FIFAのベストイレブンに選出! “いま一番トップに近い”熊谷紗希が語る「東京五輪で戦うことの価値」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by熊谷選手提供
posted2020/12/30 06:00
UEFAの選ぶCLベストメンバー、決勝での得点はCLベストゴールの2位などに選ばれている熊谷紗希選手
そんななかで、熊谷の関心は早くも五輪後の女子サッカー界にも向けられている。なにより現在なでしこジャパンに欧州組は“熊谷ただ1人”という状況を危惧している(21日、岩渕真奈選手ががイングランド・スーパーリーグのアストンビラへ移籍すること発表)。
「(欧州組が)増えてほしいと思いますね。だから、東京五輪がそのきっかけになれるかもしれない。こんなに“世界”と毎日戦えていたら、代表活動のときにもっと楽しくなるし、もっと余裕もってサッカーできる。現状、男子の代表は海外組がメインですしね。
もちろん、海外でやることだけが良いとは言わないですし、これから女子もプロリーグが始まっていくなかで、同じように日本の女子サッカー界も色々と考えていく必要があると思います」
「どんな環境でも楽しめたら」
自身は去る10月に30歳になった。
「30代はずっとサッカーやってるわけじゃないだろうし、サッカー選手としての20代をイメージするのと、30代をイメージするのはわけが違うと思う。でも、やっぱりどんな環境でも楽しめたらいいですけどね。40代はサッカーやってるわけにいかないし(笑)」
カズさんのように53歳という選手もいるのだが、と振ると
「いや、私そういうの大丈夫、大丈夫(笑)」
と首をブンブンふって、笑いながら拒否をした。
「プレーしていてふと気づいた時に、まだ30代だったらそれはそれで幸せかな。でも、他にやりたいことが見つかってるかもしれない。どうします? 私が全然違うことしてたら(笑)。でも、それはそれで楽しいですよね。うん、ほんと楽しみたい、20代と変わらず」
リヨンでレギュラーを獲得することはもちろん、ドイツやフランスで長きにわたりサッカー選手として生活していくことだけでも、決して簡単なことではない。でも「楽しみたい」という一言に、日本で一番、世界のトップに近いであろう熊谷の今が集約されている気がした。