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青学、東海、東洋、明治…箱根駅伝・強豪校のナゾ「なぜ千葉・富津が合宿で“1番愛される”のか?」
text by
太田涼(スポーツ報知)Ryo Ota
photograph byRyo Ota/Sports Hochi
posted2020/12/28 17:04
11月中旬、千葉・富津での国学院大、帝京大、法政大との合同練習で20kmを走る東洋大・西山和弥
クロカンコースはもちろん、メインとなるのは岬を周回できるロードコース。回り方によって2.3km、2.8km、5.6kmと3パターンの使い方ができる。特に、5.6kmコースは各大学がほぼ必ずと言っていいほど行う5kmを複数本こなすインターバルトレーニングで用いられる。5kmを設定タイムでこなし、残り600mをリカバリーに充てる。コース内は車や自転車でも移動しやすいので、チェックしたい局面の走りをじっくりと見ることもできる。他にも、県道182号上畑湊線、通称「もみじロード」や海岸砂浜といったバリエーションも豊富だ。
安全を確保しやすいことも大きい。潮干狩りやサーフィンなど観光客の多いシーズンを除けば、車通りはそれほど多くないコース。カーブも少ないので、最小限のスタッフを配置すれば、事故の危険もほとんどない。特に20kmを超える距離走は、各大学周辺のコースであっても危険はつきまとうが、富津の周回コースであればその心配も減る。
“温暖”+“防風林”
2つ目は「安定した気候、コンディションの良さ」にある。
元々温暖な上に、防風林が生い茂った岬は天候に左右されにくい環境。海に面していることから強風が吹き付けることもあるが、岬の先端部以外ではそこまで風を感じずに走ることができる。交通アクセスの良さもあり、トレーニング以外での選手への負担は軽い。特に、今季は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって公共交通機関の利用を極力避けたい。チーム単位でバスや車を利用し、かつ近場でという条件が重なると、良コンディションが期待できる富津が真っ先に候補に挙がることになる。
“過去の先輩方”と比較しやすい
3つ目は「計算し尽くされた伝統」だ。