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青学、東海、東洋、明治…箱根駅伝・強豪校のナゾ「なぜ千葉・富津が合宿で“1番愛される”のか?」
text by
太田涼(スポーツ報知)Ryo Ota
photograph byRyo Ota/Sports Hochi
posted2020/12/28 17:04
11月中旬、千葉・富津での国学院大、帝京大、法政大との合同練習で20kmを走る東洋大・西山和弥
夏合宿など長期にわたるものは足作りという目的もあって、より起伏や標高の高さを求めるが、質の高さに重きを置く短期合宿や調整練習の場合は富津一択となりやすい。そうなると、毎年同じ時期、同じメニューを同じ場所で行うことになり、前年と比較しやすいというのは大きなメリットになる。
ほとんどのチームが富津に来たら行う練習メニューは決まっていることが多い。それは、これまでの積み重ねから「ここで、この練習を、このくらいの記録でこなせば、本番はこれくらいで走れる」という目安が出来上がっているからだ。トラックの自己記録も重要だが、ロードという駅伝本番に近い環境下において、過去の先輩方の経験値を踏まえて現状を把握できる。
もちろん、富津以外の合宿地を利用して強化を図るチームもあるが、重要視されるのは過去との比較という点だ。
コロナ禍でロードレースが軒並み中止や延期となる中、11月14日に国学院大と帝京大、法大、東洋大が合同練習として富津で20km走を行った。
全員が胸にはナンバーカードをつける徹底ぶりで、レースさながらの緊張感。西山和弥(東洋大4年)が1km3分を少し切るペースで引っ張り、各大学のランナーたちは箱根メンバー入りをかけ、岬の風を切って駆け抜けた。
形は違えど、箱根を走る選手選考の場とするチームは多く、観光地は一瞬にして戦場と化す。これだけの好条件がそろうというのは、走れない言い訳ができない状況が作り出されるということ。
ごまかしがきかない富津で苦しみ抜いたからこそ、学生ランナーたちは箱根路で輝ける――。そんな方程式があるのかもしれない。