水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
オルンガは左足の振り! 三笘薫は2歩目! 水沼貴史が惚れる“速い”2人ともっと評価されていい鉄人とは
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byKenichi Arai/AFLO
posted2020/12/22 11:01
史上最速の速さでJ1を制したフロンターレ。水沼氏は「中村憲剛の引退に花を添える素晴らしい優勝だったと思います」と讃えた
名古屋のクリーンシート「17」
次に評価したいのは名古屋グランパス。驚くべきはクリーンシート(無失点)の数。FC東京の13、セレッソ大阪の12を大きく離して名古屋は17試合も達成しています。
とにかくフィッカデンティ監督のサッカーは堅い。特に中央の4人がその象徴となりました。ボランチの米本拓司、稲垣祥、DFの丸山祐市、中谷進之介のセンターラインがフル稼働。ボールを取りに行く守備とゴール前をしっかり固めるという守備を相手によって使い分けられるようになりましたし、中央の連係に安定感があるのでバランスが崩れることはない。前線に前田直輝やマテウスといった“一発”がある選手が揃うだけに、後ろがしっかり我慢できれば「勝てる」というチーム内の信頼関係があったのではと思います。
ACL出場権を得られる3位に入ったことで、来季は大型補強の噂も出ています。フィッカデンティらしい堅守のサッカーは来年以降も注目です。
ガンバに備わった粘り強さ
あと、リーグ2位でフィニッシュしたガンバ大阪にも触れましょう。今季はシーズン途中で大黒柱の遠藤保仁をレンタルで放出するという大きな動きがありました。そんな中でもしっかりと結果を残したことは今後のクラブにとっても大きい。宮本恒靖監督も積極的な若手起用が目立ち、山本悠樹という遠藤に代わるタクトを振れる選手が頭角を現すなど、来年に繋がる要素が多いのでは、と見ています。
ガンバといえば、攻撃的なパスサッカーというイメージがありましたが、シーズン途中あたりから粘り強さみたいなものが出てきたように感じています。補強した昌子源やDFリーダーの三浦弦太と主力がフルで稼働できない台所事情もありましたが、なんとか守備陣が我慢していた試合も多かった。ただ一方で、王者・川崎には0−5で負けている事実もしっかり受け止めないといけません。倉田秋も口にしていましたが、ガンバのサッカーをもう一回取り戻せるようなムードは徐々に生まれつつあります。来季はACLもあるので、どんなシーズンになるか注目したいです。