水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
オルンガは左足の振り! 三笘薫は2歩目! 水沼貴史が惚れる“速い”2人ともっと評価されていい鉄人とは
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byKenichi Arai/AFLO
posted2020/12/22 11:01
史上最速の速さでJ1を制したフロンターレ。水沼氏は「中村憲剛の引退に花を添える素晴らしい優勝だったと思います」と讃えた
オルンガの左足の振りが速い
次は選手個人をピックアップしていきましょう。やはり今季は得点王になったオルンガとルーキーながらインパクトを残した三笘薫でしょうか。
オルンガは以前のコラムでも紹介したように、あの長身にも関わらずとにかく身体がしなやか。シュートパターンも豊富で、特に左足のシュートの振りはしなったムチのよう。スピードが違うので、DFとしても「あっ」と思った瞬間に足を出しても、もうボールはゴールネットに……なんて感覚すら抱いたのではないでしょうか。アラウージョが持つ最多得点記録(33点)の更新とはなりませんでしたが、28点で堂々の得点王。左足ではなんと18ゴールも決めています(リーグ1位)。
三笘のドリブルは2歩目が速い
一方、三笘もMVP級の活躍でした。日本人で彼のようなドリブルをするタイプは本当に見たことがありません。スピードはもちろんですが、三笘のドリブルは2歩目が速くて、なおかつ幅を使ってる。前にかかっている時でも横に広く幅を使うからDFはなかなか飛び込めず、ボールに触れません。それにドリブルかと思っていたらパス、時には切り込んでシュートとパターンも多彩なので、DF陣は相当手を焼いたはずです。しなやかさで言えば、ネイマールに近い印象を受けますね。彼のドリブルを細かく評価したらキリがないので、それはまた次の機会に(笑)。とにかくルーキーイヤーで13ゴール、12アシストは立派のひとことです。
トリニータの鈴木義宜も賞賛
あと大分トリニータのセンターバック鈴木義宜も賞賛したいです。J3時代の16年途中からフルタイム出場を続けている、まさに片野坂サッカーの申し子。頭を打った影響で無念のドクターストップとなり、記録は途絶えてしまいましたが、大分らしい丁寧なサッカーを支えていた彼はもっと評価されていいはず。こういう選手にもっと陽が当たって欲しいなと思います。