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ミュラーのような原口元気&レギュラー確保目前の室屋成 ブンデス1部昇格への生命線コンビに
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byAFLO
posted2020/12/20 11:03
ハノーファーで戦う原口元気(右)と室屋成。ブンデス1部昇格への闘いは続く
チームメイトも室屋の特徴を少しずつ把握してきたようだ。これまで右SB/WBのポジションは室屋とキングスリー・シンドラーが争っていたが、ここにきて室屋が一歩リードしてきていると思われる。
激しくもフェアな守備が目立った
1-0で勝利した10節ハンブルガーSVとの試合では序盤から激しくもフェアな守備で相手にがちがち当たり、そのしつこさに嫌気がさしたのか対面することが多かったソニー・キッテルが2枚のイエローカードで退場処分に。室屋相手にボールロストした後に、フラストレーションを晴らすかのようなタックルをしてカードをもらったくらいなので、よっぽど嫌だったのだろう。
翌節ハイデンハイム戦ではベンチスタートもチームは機能しないまま0-1で敗戦。ただ12節ボーフム戦ではフル出場を果たし、2-0勝利に貢献している。この試合ではチームとして攻守のバランスがこれまでよりも取れていたことから、今後のベースになるのではないかと見られている。ここからの室屋の上昇に期待したい。
チーム内全試合スタメンは原口だけ
昇格候補らしい戦績を上げられずにいるチームにおいて、監督から全幅の信頼を受けている中心選手が原口元気だ。
10月の代表戦後には疲れの影響もあったのか、うまく関われない試合が続いていたが、それでもコチャック監督は一度もスタメンから外すことなく、起用し続けている。ここまで全試合でスタメン起用されているのは原口だけだ。
4試合で1分け3敗と失速した11月を終え、昇格を争う10節のハンブルガーSV戦は絶対に落とせない一戦だった。この試合で原口は随所にインテリジェンスを感じさせるチームプレーで勝利に導く活躍を見せた。トップ下の位置で出場したが、前半は攻撃の起点としてうまくパスを引き出す動きを見せる。
そして序盤から素晴らしかったのは守備時のポジショニングとプレスのタイミングだ。
相手がパスを回しながら中盤から前線にボールを送ろうとするが、その起点づくりを次々に阻止していく。ハンブルガーのボランチに気を配りつつ相手の攻撃を抑制し、少しでも奪えそうな局面なら鋭く距離を詰めてプレスをかける。周りの選手に指示を出しつつ統率し、前述したプレーが途切れることなく続けていく。
その姿はバイエルンにおけるトーマス・ミュラーのようだ――といったら言い過ぎだろうか。