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ミュラーのような原口元気&レギュラー確保目前の室屋成 ブンデス1部昇格への生命線コンビに
posted2020/12/20 11:03
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
AFLO
10年前のブンデスリーガ。まだバイエルンの8連覇が始まる前、ドルトムントでユルゲン・クロップ監督のもと香川真司らが躍動し、リーグ2連覇を達成していたころ、ハノーファーはブンデスリーガの常連クラブとして、確かな立ち位置を築いていた。
10-11シーズンは4位、そして11-12シーズンには7位でシーズンを終え、2年連続ヨーロッパリーグ出場を果たすなど、戦績も上々。11-12シーズンのヨーロッパリーグではベスト8まで進出し、最後はアトレティコ・マドリーに負けて姿を消したが、その奮闘ぶりにはハノーファーファンのみならず、ドイツ中のサッカーファンからも拍手が送られたものだ。
だがサッカー界は変化のスピードが速く、今の成績が来年以降の保証になることはない。ハノーファーもそうした流れの渦に飲み込まれていった。16-17シーズンに2部へと降格したハノーファーは翌シーズン1部へ復帰を果たしたものの、残留を果たせたのはわずかに1シーズン。19年にはリーグ17位となり、またしても降格を余儀なくされてしまった。
2部にいればいるほど再昇格は難しい
降格後2部でプレーする時間が長くなれば長くなるほど、再昇格が難しくなるとされている。収益が大きく異なるのは世界中どこでもそうだと思われるが、ことヨーロッパにおけるテレビ収入格差はかなりのものだ。
ドイツ国内においてテレビ収入は1部と2部を分けた過去5年間と20年間のランキング、U23の選手の出場試合数によって分配され、1部と2部の割合は8:2である。
例えばバイエルンのテレビ収入が1億540万ユーロなのに対して、今季1部昇格組のビーレフェルトは3431万ユーロ。そして2部リーグでもらっているほうに分類されるデュッセルドルフ、ハノーファー、ハンブルガーSVで約2300万ユーロとなっている。全収益においてかなりの部分を占めるテレビ収益が大幅に減ることは、人件費の維持が困難となることを意味する。
ハノーファーも1部リーグ時代には8000万ユーロはあった人件費が降格1年目に5000万ユーロに。1年での1部復帰を逃すと戦力補強やそれこそ保持のための資金が足らなくなり、経営が行き詰まってゆく悪循環に陥りがちだ。2部にとどまり続けるどころか、さらに下部へと落ちていくクラブも少なくはない。
アーヘン、カイザースラウテルン、1860ミュンヘンなど、かつて1部常連だったクラブが3部や4部で苦しんでいるのは他人事ではないのだ。