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ミュラーのような原口元気&レギュラー確保目前の室屋成 ブンデス1部昇格への生命線コンビに
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byAFLO
posted2020/12/20 11:03
ハノーファーで戦う原口元気(右)と室屋成。ブンデス1部昇格への闘いは続く
昨シーズン1部復帰を逃したハノーファーにとって、2年連続の失速は是が非でも避けたい。そのためハノーファー監督のケナン・コチャックは今夏、抜本的なチームの構造変革に取り組んだ。元ドイツ代表GKロン・ロベルト・ツィーラーをはじめ16選手を放出し、日本代表DF室屋成ら自身のコンセプトにあった11選手を補強。新しいチーム作りを進めて、一部への扉を一気にこじ開ける、つもりだった。
室屋も決して満足できる数字ではない
だが、シーズン3分の1を終えた段階でイメージ通りには運べていない。コチャックは「私はメンバーをころころ変えるのは好きではない。継続性が大事なのだ」と語っているものの、それができていない。主軸としてプランしていた選手が負傷離脱している影響もあり、12節終了時で12試合すべて違うスタメンだ。
そうした背景があるからか、期待の新加入選手はまだそれぞれのポテンシャルを発揮しきれていない。室屋にしてもそうだ。今季ここまで11試合に出場し、スタメンは6試合。少なくはないが、満足のいく数字ではないだろう。
「セイ・ムロヤはテクニックのレベルが高く、スピードがあり、両足でボールを扱え、いいセンタリングを入れられるSBだ。確かなメンタリティと素晴らしい走力を持っている。我々にとって高い価値を持った選手だ」とSDゲルハルト・ツーバーは語っていたが、チーム戦術における役割を理解していくことに加え、まだドイツサッカーにおける1対1に対するとらえ方の違い、味方選手とのプレー観の違いに順応している段階だろう。
特に2部は1部以上にダイレクトな1対1の競り合いが多いし、そこでのやり取りが試合の行方を左右することが多い。
徐々にスピードと技術を生かしつつある
サッカーは相手がいるスポーツである。だから相手選手の特徴や長所を知り、そこからどんなプレーをしてくるかを予測する。それが攻守でどうプレーすべきかにつながっていく。
例えば守備における1対1ならば、スピードが武器の選手は前を向かせると怖い。だからボールを受ける局面で鋭くプレッシャーをかけなければならない。逆に足元の技術はあるが、スピードがそこまでではない選手なら、無理に飛び込んでいなされるよりも、振り向かせてから対処したほうがいいケースもあるわけだ。
そんな中、室屋は徐々に局面ごとにスピードと技術を生かした突破で攻撃にアクセントを加えたり、守備でボールをしっかりと奪い取るプレーが増えてきている。