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「“殺してやる”と罵られても」「ジェフは酷いということか」オシムや悪童FW、年俸120円Jリーガーの本音<2020名言&珍言>
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTakao Yamada/Takuya Sugiyama
posted2020/12/28 06:01
オシム、エメルソン……サッカー界それぞれの立場の人たちの言葉の重みを噛みしめたい
<名言3>
(実況者として)選手と一緒に、言葉で、音でプレーすること。チームが変われば、リズムも変わる。だから、僕の発する言葉のリズムも変わる。プレーの描写に関しても、オン・ザ・ボールのときに選手の名前をつけられるかどうか。予測してないとできないんですよ。
(下田恒幸/NumberWeb 2020年1月23日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/842253
◇解説◇
下田アナの「声」と「絶叫」はJリーグや海外サッカーの中継を見る人にとってはおなじみ。「ナァァイスキィイパー!」など、うねるような声質は”声援のあった頃”のスタジアムを想起させる臨場感だ。そして大一番でのキックオフ前の熱い“口上”は、多くのサッカーファンの心をとらえてやまない。
下田はブラジルに住んでいた幼少期、仙台の放送局での日々が独特のスタイルを築き上げたというが、サッカー実況のポイントとして、予測の大切さを説いている。
確かに下田アナの実況を聞いていると「トーマス・ミュラーがいました……!」との声を発したとともに、ミュラーがゴールを陥れる――というシーンが多々ある。その芸当ができるのは、ピッチ内を駆け回る選手たちと連動し、実況者として“プレー”しているからこそなのだろう。
「20回しか描写しないアナウンサーがたまに間違えて、16回合っていたとする。正解率8割でしょ。僕はそこで60回言いたい。それで20回言い間違えたとしても、40回は起きているプレーの質と映像をリンクさせて視聴者に届けることができたわけで、僕は後者でありたいと思う。もちろん、ミスを少なくする努力はするけどね(笑)」
年末年始、フットボールの中継を目にする時間は増える。下田アナのような矜持を感じさせる実況にも耳をそば立てながら、至高の90分間を堪能したい。