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太りすぎと酷評のアグエロ&脆い守備 ペップの魔法も効かない不振シティ、何が起きている?
posted2020/12/02 17:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
【2016-17】6勝1分2敗:22得点・9失点
【2017-18】8勝1分無敗:30得点・4失点
【2018-19】7勝2分無敗:27得点・3失点
【2019-20】6勝2分1敗:29得点・9失点
【2020-21】4勝3分2敗:15得点・11失点
ジョゼップ・グアルディオラ監督の着任以降、マンチェスター・シティは序盤9試合で上記の結果を残している。
勝点100、総得点106という圧倒的な強さでプレミアリーグを制した2017-18シーズンをピークに緩やかな下降線を描いていると言っていい。今シーズンは失点が早くも二桁を数え、得点も昨シーズンに比べるとマイナス14だ。
いま、シティに何が起きているのだろうか。
“バスを停める守備”をせざるを得ない
5失点を喫した第3節のレスター戦では、浅いDFラインの裏を徹底的に狙われた。このパターンでの失点は昨シーズンから急増しており、1本のロングパスで、あるいは単純なサイドチェンジでいとも簡単に崩されるシーンが目立つ。
頼りになるアンカーはフェルナンジーニョただ1人。計算できるDFはカイル・ウォーカー、ルベン・ディアス、アイメリック・ラポルトの3人だけというお寒い事情があるにせよ、守りが脆弱になった印象が非常に強い。自軍ゴール前に“バスを停める”ような守り方はグアルディオラのポリシーに反するとはいえ、早急に対応してしかるべき問題だ。
攻撃も精彩を欠いている。強かった頃のシティは多くの選手が代わる代わるライン間に進入し、相手に考える隙も与えない攻撃を繰り返してきた。ところが、今シーズンは足が止まっている者が多い。
ダビド・シルバ退団は大きすぎるダメージ
やはり、ダビド・シルバの退団(レアル・ソシエダに移籍)は大きすぎるダメージだ。スペースに走り、巧みなポジショニングで相手のパスコースを塞ぎ、なおかつ速攻と遅攻の使い分けにも長けていた技巧派が去ったことにより、中盤のクオリティが下がったことは否めない。
現有戦力では、ベルナルド・シウバかフィル・フォデンが後継者とみなされている。
しかし、B・シウバは一昨シーズンまでのパフォーマンスをなかなか取り戻せていない。フォデンはタイミングの良い飛び出しが最大の特徴で、シルバのようなクリエイターではない。
ケビン・デブライネが高次元のパフォーマンスを維持しているとはいえ、この男が抑え込まれると攻撃は一気に停滞する。今後、負担増→疲労→負傷→長期の戦線離脱という最悪のシナリオも考えられなくはない。