フランス・フットボール通信BACK NUMBER
W杯優勝・フランス代表のデシャン監督が明かす「能力よりも重視している」“代表選考の条件”とは
text by
パトリック・ウルビニPatrick Urbini
photograph byL’Équipe
posted2020/12/03 17:01
2019年11月17日のアルバニア戦では伝統的な4-4-2ではなく、3-4-1-2で勝負した
「モナコでも実践したのは覚えているかな。クラブでも代表でも、以前は多く採用されていたシステムだ。それにビッグクラブの選手は、システムの移行にも日常的に迅速に対応している。私たちがさらに進化していくためにも有効なオプションだ」
――別の解釈も成り立つ選択ですが……。
「誰もが自分の思い通りに解釈する。別に守備的な連帯をより強固にする必要に迫られての選択ではない。たしかにそこも強まるかも知れないが……。それよりもサイドに別のオプションを提供し、グリーズマンをトップ下――2トップの後ろに置くことで別のバリエーション、別のバランスを得るやり方だ」
メンバー選考での苦労
――いつもあなたは23人のリストを発表した時点で、不測の事態を除いて試合に臨むスタメンを決めています。今回もそうですか?
「今回は違う。スウェーデン戦のやり方は決めたが選手はまだだ(笑)。いつもより未知の要素が多いから、選手の状態――とりわけフィジカルコンディションに留意しながら短時間で選手を選ぶ。4日で2試合というスケジュールで、あるものは準備に1週間が必要だし、別のものはもっと短い時間で試合に臨める。出場機会も多く最近までプレーしていた選手と、以前からバカンスに入りトレーニングを再開していた選手とでは、フィジカルに大きなばらつきがある。通常より違いは大きく迅速な対応が迫られる。
ただ、2~3日の練習で何かを生み出したり、全員を望むレベルまで回復させることはできない。試合当日の朝までスタメンの選択に悩むかも知れない。通常、公式戦が2試合続くときはチームを大きくは変えない。だが今回はそうはいかないだろう。UEFAが交代人数を3人から5人に増やしたにせよ、スウェーデン戦とクロアチア戦のプレー時間配分を十分に考慮する必要がある」
――リーグ連盟はクロアチア戦の48時間後にランス対PSGのリーグ戦をおこなうことを決めましたが、選手起用がそれで制限されますか?
「あの決定には本当に驚いた。困りものだ。リーグは代表の日程を知らないか、『代表など考慮する必要はない』あるいは『代表戦はPSGの選手抜きでやれ』と言っているようなものだ。フィジカル面での不安は、どのクラブの選手であれリスクを冒せないことだ。さまざまな要求に耳を傾けながら柔軟に対応していかねばならない。
例えばバイエルンは、PSGとのCL決勝の直後にキングスレー・コマンとベンジャマン・パバール、コランタン・トリソを招集しないよう公式に求めてきた。3人ともちょっとした問題を抱えているからで、私も対応せざるを得なかった。ただ、プレーが可能な選手に対しては、私は自分がやりたいようにする。誰にも贈り物をするつもりはない。トーマス・トゥヘルはキリアン・ムバッペのクロアチア戦での起用を望んではいないのか? どうするかはこれから決める。私は誰の制約も受けない」
――現在のあなたの分析は、3月にウクライナ戦とフィンランド戦の準備をしていた際の分析とは異なっていますか?
「当時とは状況が異なる」
――というと?