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W杯優勝・フランス代表のデシャン監督が明かす「能力よりも重視している」“代表選考の条件”とは
text by
パトリック・ウルビニPatrick Urbini
photograph byL’Équipe
posted2020/12/03 17:01
2019年11月17日のアルバニア戦では伝統的な4-4-2ではなく、3-4-1-2で勝負した
――グループをさらにダイナミックにするために、あなたはウセム・アウアー(22歳)とダヨ・ウパメカノ(21歳=インタビュー当時)、またポール・ポグバの代役としてエドゥアルド・カマビンガ(17歳=同上)を招集しました。アウアーは辞退したのでナビル・フェキルに代わりましたが、若さと野心の他に彼らはチームに何をもたらしうるでしょうか?
「アウアーはアタッキングエリアでのパフォーマンスに優れている。そこでのパスの能力が高くテクニックも申し分ない。自分で得点するだけでなく彼はアシストもできる。4-4-2システムでは中央と左サイドの両方でプレーできるが、守備の負担が少ないほどプレーの質は向上する。コロナ検査で陽性となり、残念ながら今回は見ることはできないが……。
ウパメカノはスピードがありデュエルにも強い。運動能力も高い。3バックでは右のストッパーだが4バックでもプレーできる。ときにリスクを冒しすぎることもあるが、ボール扱いにも秀でている。さらにカマビンガは、ごく若いにもかかわらず確固としたパーソナリティを確立し、チームプレーにも影響力を持っている。高いレベルで成功する要素をすべて備えているから、いずれ彼の時代がやって来るだろう。五輪代表では素晴らしかったことからもそれはうかがえる。
だが、誰にせよ能力だけでは十分ではないし、ピッチの上だけでは知り得ないこともある。私がとりわけ重視するのは人間的な側面――メンタリティだ。だからシルバン(・リポル五輪代表監督)とは、若手についての情報を常に交換し、彼の意見や印象を参考にしている」
不安定な状況で高いパフォーマンスを維持するために
――最後に今回の目的と、10〜11月の6試合の目標は何でしょうか?
「2つある。1つはネーションズリーグでベスト4に入ることだ。ロシアW杯に出場し、EUROでも本大会出場を決めた3カ国(クロアチアとポルトガル、スウェーデン)がグループリーグの相手で難しい戦いになるが、同時に大きな進化のチャンスでもある。
もう1つはグループの刷新だ。高いパフォーマンスを維持しながら普段とは考え方を変えて選手のプレー時間を再配分する。10月と11月は1週間で3試合が予定されているが、選手を好き放題に使えるわけではないのだから。
クラブがすべての試合に勝ちたいように、私もどの試合も勝ちたい。そのために選手たちとは継続的にコンタクトをとっている。長い中断期間の後でコレクティブな指標を定め直して彼らの精神状態をもとに戻す。さらにリーダーを見出せば、そこから生まれるコレクティブな力がわれわれを再び頂点へと導くだろう」
――どうなるか見てみましょう。ありがとうございました。
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