フランス・フットボール通信BACK NUMBER
W杯優勝・フランス代表のデシャン監督が明かす「能力よりも重視している」“代表選考の条件”とは
posted2020/12/03 17:01
text by
パトリック・ウルビニPatrick Urbini
photograph by
L’Équipe
ディディエ・デシャン・インタビューの後編である。9月のシリーズで導入した3バックについて(10月以降は4バックに戻した)。新戦力への期待とチームの新陳代謝、競争の必要性。さらには選手選考とチーム構築の基本理念まで……。デシャンが語った。(全2回の2回目/#1へ)
(田村修一)
「現状に満足して何の疑問も抱かないチームほど……」
――昨年11月のアルバニア戦で試した3-4-1-2システムも新たな試みの1つでしょうか?
「その通りで、決してその場限りのオプションではない。ある時期から私が温めていた1つのシステムであり、クリエイティブでバランスのとれた戦い方だ。ただ、同様に4-4-2もクリエイティブでバランスがとれている。すべては中盤の選手――とりわけサイドに誰を置くかによる。起用する選手によってプレーの展開も異なる。唯一変わらない原則は、相手を混乱に陥れ危険な状況を作り出すために、選手を最適なポジションに配置することだ。
システム自体はどれも優れている。優劣をつける気はないし、あるシステムにダメ出しする気もない。私は保守的と言われてはいるが……。違いを作り出すのはコレクティブなクオリティだ。CLのバイエルンを見ればそれがよくわかる」
――ティラナでの3バックですが、ラファエル・バラン、クレマン・ラングレ、プレスネル・キンペンベのトリオは、以前から準備し満を持してピッチに送り出したのでしょうか?
「1回の練習で十分だ。あのときは……、20分間のセッションを2回おこなったのか、それともスタメンの11人をピッチに並べて指示を出したのか……、あまり覚えていないんだ。ただ、限られた時間のなかで選手とはよく話し合った。ラインごとの動きは必要に応じてボードに書き、練習でも一度だけだが確認した。
幸い、選手たちは知性に溢れ、私がクラブとは異なる要求をしてもキッチリと対応する。パートナーが代わっても、クラブですでに同じような経験をしているから何の問題もない。だから質問の後半部分に答えると、3バックは彼らにとって驚きでも難しくもなかった。むしろ喜んでいたと言える。ときに変化は必要で、選手に驚きを与えて警告を発し、守備をより効率的にするために彼らのやり方を混乱させる。現状に満足して何の疑問も抱かないチームほど始末に悪いものはない」
――しかし3バックは、あまりあなたに似つかわしくない気もしますが。