酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
【記録で日本S展望】“巨人不利”を覆すには…カギは菅野智之以外の先発、全試合DHと“あの助っ人”
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki/Hideki Sugiyama
posted2020/11/20 11:05
原辰徳監督率いる巨人と、工藤公康監督率いるソフトバンク。2年連続の同カードは果たして雪辱か、返り討ちか
なぜ工藤監督は短期決戦に強い?
工藤監督は、CSで敗退したのは一度だけ。日本シリーズは4回進出してすべて日本一に輝いている。ポストシーズンにおける勝率も8割近く、圧倒的に強い。
一方で原監督のポストシーズン勝率は5割そこそこで、日本シリーズでは2002年に西武、2009年、2012年と日本ハムを退けてはいるが、ポストシーズンにめっぽう強いとは言えない。
工藤監督はポストシーズンに強いのか? 原監督はそれほどでもないのか? そこには様々な要素があるのだろう。
よく言われるのが「短期決戦と、長期のシーズンは戦い方が違う」ということだ。「シリーズ男」という言葉があるが、短期決戦になればレギュラーシーズンでは目立たなかった選手がヒーローになることがよくある。
ソフトバンクでいえば、2015年の明石健志(打率.438、1本)、2018年の甲斐拓也(打率.143ながら盗塁を6回阻止)などが記憶に新しい。
しかし、そうした選手を抜擢する「ひらめき采配」は運に左右されることが多い。勝敗を分けるのは、もっと本質的な部分のはずだ。それは「チーム編成」ということになるのではないか?
先発投手陣を見ると両チームの違いが
今季に関して言えば、巨人とソフトバンクは、最も重要な「投手」の陣容に大きな違いがあるのだ。そこで巨人、ソフトバンクの投手陣について見ていこう。
まずは先発投手陣。日本シリーズは4人で先発を回すことが多いが、今シーズン主に先発した5番目の先発までを比較する。
・巨人
菅野智之
20試14勝2敗 137.1回 防御率1.97
戸郷翔征
19試9勝6敗 107.2回 防御率2.76
サンチェス
15試8勝4敗 87.2回 防御率3.08
今村信貴
12試5勝2敗 62.2回 防御率3.16
畠世周
12試4勝4敗 65.2回 防御率2.88
・ソフトバンク
千賀滉大
18試11勝6敗 121回 防御率2.16
東浜巨※40人枠外に
19試9勝2敗 119回 防御率2.34
石川柊太
18試11勝3敗 111.2回 防御率2.42
ムーア
13試6勝3敗 78回 防御率2.65
和田毅
16試8勝1敗 85.2回 防御率2.94
笠谷俊介
20試4勝4敗 57回 防御率2.84