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「高校でのスタイルを捨てた」 ロッテ“高卒ドラ1コンビ”安田尚憲21歳と藤原恭大20歳が急成長できたワケ
posted2020/11/20 11:04
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
KYODO
パ・リーグのクライマックスシリーズはソフトバンクの3勝0敗で幕を閉じた。レギュラーシーズンの差がそのままポストシーズンでも出た形だった。
しかし一方、昨季の4位から2位に躍進した千葉ロッテの戦いぶりは今後への期待を抱かせるものがあった。シーズン開幕前と後に、ローテーション投手が相次ぎ右肘靭帯の損傷で離脱。シーズン途中にレアード、終盤にマーティンの両外国人が離脱する苦しいチーム事情の中にあって見事な戦いぶりを見せた。
なかでも見逃せないのは初戦にCS最年少本塁打をマークした安田尚憲(21歳)と2試合に2番打者としてスタメン出場を果たした藤原恭大(20歳)である。高卒3年目の安田は9打数4安打1本塁打4打点。高卒2年目の藤原は8打数3安打1盗塁の暴れぶりだった。
その成長ぶりにただただ驚く。と言うのも、ちょうど1年前と今年1月、2人をインタビューした際に課題を挙げていて、それらをクリアした今季の活躍だったからだ。1年も経たないうちに一軍レベルまで到達した彼らの技術力には目を見張る。
安田がこだわった「バッティングの“ある部分”」
安田が成長を見せたのはバッティングの“ある部分”だ。昨年のオフに入る直前。自身が取り組むべき課題をこう話していた。
「頭の位置を気にしています。前に行ってはいけないですし、逆に後ろに残りすぎてもいけない。そういうところを大事にしていますね。いいバッターの人を見ると、下半身でしっかり支えて頭の位置が動いていないので意識していきたいんです」
CS初戦の先制弾はカウント1ストライクから千賀滉大のフォークを捉えたものだったが、タイミングを狂わされながらも頭は動いていなかった。2戦目の初回の先制打も然り。東浜巨のツーシームを左中間にはじき返している。
引退した福浦和也から学んだこと
安田が課題克服につながる影響を受けたのは昨季限りで現役を引退した福浦和也現二軍ヘッド兼打撃コーチだ。