酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
【記録で日本S展望】“巨人不利”を覆すには…カギは菅野智之以外の先発、全試合DHと“あの助っ人”
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki/Hideki Sugiyama
posted2020/11/20 11:05
原辰徳監督率いる巨人と、工藤公康監督率いるソフトバンク。2年連続の同カードは果たして雪辱か、返り討ちか
クローザーに関して言えば……
今季の巨人はシーズン中に楽天から移籍した変則左腕、高梨雄平が救世主的な活躍を見せ、救援の中心となった。大竹、鍵谷もまずまず働いた。高梨と同じ変則左腕の大江竜聖も後半、好成績を残している。
しかし、セットアッパーの陣容でもソフトバンクには見劣りするか。ソフトバンクは圧倒的な奪三振率を誇るモイネロ、左のワンポイントの嘉弥真、アンダースローの高橋礼、今季急成長の泉とキャラが立ったセットアッパーが控えている。
クローザーに至っては、今季もしっかり固定できなかった巨人と、リーグ2位の32セーブを稼いだ不動のクローザー森がいるソフトバンクでは差がある。
巨人は10月6日以来投げていない中川を秘密兵器的に起用するようだが、未知数ではあろう。
例年通り「その時点で調子のよい投手」を使いまわしてきた巨人と「勝利の方程式」を堅持してきたソフトバンク、その差は大きいのではないか。
打線に関して見てみると大差ないが
今度は打線を見ていこう。打線は水物と言われるが、互角ではないだろうか? 今季は直接対決がなかったが、数字的には大きな差はない。
巨人
120試合3994打数1019安打135本
507打点80盗塁 打率.255
ソフトバンク
120試合3933打数979安打126本
500打点99盗塁 打率.249
両チームともに本塁打数はリーグ1位(巨人はDeNAと並ぶ1位タイ)である。
注目すべきは盗塁数だ。ソフトバンクは今季、スピードスターとして売り出した周東佑京がチーム盗塁数の半分強の50盗塁を稼いでいる。当然、シリーズでも1番でかき回してくるだろう。
今季、交流戦がなかったこともあり周東は巨人と公式戦で対戦していない。それだけに巨人のバッテリーは立ち上がりから警戒が必要になってくる。
古くは1972年の日本シリーズで、巨人はこの年106盗塁した阪急の福本豊を完全に抑え込むことで日本一を獲得した。
今季の巨人も「周東対策」が重要になるだろう。ディフェンス面だけを見れば、巨人の捕手は炭谷銀仁朗でよいかもしれない。