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2020ドラフト採点、90点の球団は……阪神1位佐藤輝明と柳田悠岐&大谷翔平の共通点って?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2020/10/28 19:20
4球団競合の末、阪神が交渉権を獲得した佐藤輝明。スケールの大きい長打を狙えるスラッガーだ
佐藤輝明と柳田、大谷の共通点
◇阪神 90点◇
1位 佐藤輝明(内野手・近畿大)
2位 伊藤将司(投手・JR東日本)
3位 佐藤蓮(投手・上武大)
4位 榮枝裕貴(捕手・立命館大)
5位 村上頌樹(投手・東洋大)
6位 中野拓夢(内野手・三菱自動車岡崎)
7位 高寺望夢(内野手・上田西高)
8位 石井大智(投手・四国IL高知)
<育成>
1位 岩田将貴(投手・九州産業大)
2016年に単独1位で大山悠輔を獲得して以降、17年の清宮幸太郎(早稲田実業高)、安田尚憲(履正社高)、18年の藤原恭大(大阪桐蔭高)と、果敢に高校生の競合に参戦してきた。チームを大きくしようとする姿勢には納得できるものがあり、その攻めの姿勢が4球団に1位入札があった佐藤輝明の当たりクジを引く幸運につながったと見る。
佐藤の打撃の大きな特徴は小さく慎重な始動とステップ、そしてボールを捉えるミートポイントが捕手寄りにあるということだ。反動を抑えた無駄のない動きで、ボールを長く見ることによって確実性を増す、という狙いがこの2つのことから見えてくる。
しかし、佐藤はヒット量産タイプではなく一発長打のタイプである。差し込まれる恐れがある捕手寄りのミートポイントを変えずにホームランを量産するというのは、日本的ではなくメジャーリーグの強打者に見られる特徴だ。日本の打者では柳田悠岐(ソフトバンク)や大谷翔平(エンゼルス)くらいしか見当たらない。こういう難しい打ち方をする選手が1年目からレギュラーを張れるほど日本のプロ野球は甘くないが、レギュラーに定着したあとは打撃タイトルを毎年取るようなスケールの大きい打者に成長しているのでは、という期待をさせる。
絶対的な決め手を欠く二遊間
そのほかの指名を見ると、2位伊藤将司、3位佐藤蓮は阪神にはいないタイプの投手だ。すぐに甲子園のマウンドで見ることができそうな即戦力だろう。
一番の注目は6位中野拓夢だ。堅実なショートの守備と小技にとどまらない小力のある打撃で注目を集めている。育成も目的としたアジアウインターベースボールリーグ(プロ野球選抜やJABA選抜など6チームが参加)では19年に打率.371(打撃成績2位)を記録。ホームランも1本放った。阪神の二遊間は中堅世代の木浪聖也、糸原健斗、北條史也、植田海に加え、若手の小幡竜平がポジション争いを展開している状況だが、絶対的な決め手を持つ選手はいない。中野はここに割って入る力が十分ある。