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バレー界のイニエスタ? 世界的名手クビアクが語ったVリーグの魅力と日本育成へのアドバイス 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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posted2020/10/27 17:01

バレー界のイニエスタ? 世界的名手クビアクが語ったVリーグの魅力と日本育成へのアドバイス<Number Web> photograph by Yuko Tanaka

今季でVリーグ5シーズン目となったクビアク。世界的プレーヤーが日本でプレーする意味は大きい

外国人がいることは痛手にもなる?

 一方で世界トップクラスの選手が揃うがゆえに、打数の大半が彼らに偏る。さらにアジア枠も併用すればコート内に外国人選手が2名入るため、日本人選手の出場機会も減る。短期間で見ればそれが各チームの戦力アップにはつながるかもしれないが、日本人選手や日本のリーグ、さらに言えば日本代表のためにはならない。クビアクは続ける。

「もう1人レベルが高い外国人がいれば、最高のレベルの試合になるし、日本のファンにとって楽しめるバレーになるかもしれないが、痛手になることもある。なぜなら外国人を使わなければ、その枠に入った日本人選手が代表チームに入る選手へと成長したり、日本から世界へと飛び立つ可能性を秘めているかもしれないから。

 実際に今はポーランドやドイツ、イタリア、フランスでプレーする選手もいて、彼らはもっといろいろな経験を積んでいる。日本にいる選手の中にも、海外へ行きたいと思っている選手がたくさんいるのも知っています。うまくなるため、自信を持って試合へ臨むために練習は大切ですが、試合に出られないまま365日、ずっと練習するよりも1つでも2つでも試合に出たほうがいい。特に若い選手たちは、できるだけ早くコートに立って戦うことが重要です」

美しいプレーよりも1点をどう取るか

 プロ選手として考えれば、レベルの高い欧州諸国や中国など、クビアクには望めばどこでもプレーできる力と実績がある。金銭面や家族へのサポートといった契約面があるとはいえ、それでも彼が日本で長くプレーすることを選んだ理由は何なのか。クビアクは、日本で学ぶものが多くあるからだと力強く語る。

「日本では多くの場面、特に重要な場面でトスが上がってくることがあります。でもそれが『負担になるのではないか』と見るならば、理解できません。なぜならプロである以上、そのプレッシャー、負担に耐えられないのであればバレーボールなどやらないほうがいいというのが私の考え方だからです。

 美しいスパイクを決めれば観客から歓声が起こるが、ブロックに当てて出しても、プッシュボールを落としても同じ1点ならば、この場面でいかに1点を取るか。その方法を考えることのほうがずっと重要で、私は日本でプレーすることでいつもそれを学んでいるし、若い頃から今も変わらず、さらに上達したいと100%の力を尽くしてきました。日本でプレーする外国人選手たちもきっと皆同じように思っているはずです。だから日本の若い選手たちには、その姿を見て学んでほしいと思うし、その環境が身近にある彼らをうらやましく思います」

【次ページ】 日本の育成年代への指導に思うこと

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