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負けてないのに優勝を逃し…Bリーグ宇都宮が“理不尽”を乗り越えて「こだわる」ものとは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2020/10/09 06:00
宇都宮ブレックスは、悔しい思い抱えながら新たなシーズンを走り始めた
応援することでチームを勝たせる喜び
CSになれば、会場をチームカラーの黄色に染める無料シャツの配布など、ブレックスならではの取り組みが待っている。その根底にあるのはブレックスのチームカルチャー。勝利はチームだけの力ではなく、ファンと一緒に戦って手にしたもの。そんな考えの下、CSではファンへの恩返しをする取り組みを続けてきた。
それを理想論だと笑う人もいるかもしれない。
しかし、Bリーグが始まってからのこんなデータがある。
18回のうち15回。
これまでクラブの本拠地で行なわれるCSの準決勝と準々決勝、計18の対戦カードがあった。最大3試合を行ない、2勝したチームが勝ち上がるというルールだが、ホームチームが勝ち上がったのは、18回のうち15回だ。
ホームチームの勝ち上がり率は、83%を超えている(3回のアウェーチームの勝ち上がりは全てアルバルクが記録したもの)。
ファンやブースターが試合の行方に大きな影響を与えている動かぬ証拠がそこにある。
スポーツエンターテインメントを標榜するプロリーグにとって、これほどまで誇らしいデータは他にないだろう。応援するチームが勝つのではなく、応援することでチームを勝たせるという能動的な喜びがあることを示してくれるのだから。
「勝率8割超え」のホームの権利をつかむために、コツコツと1試合ごとに勝利を求める。そしてそのためのディティールにこだわり、練習を重ねる。
そんなシンプルなところに、今のブレックスの本質があるのだ。
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