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負けてないのに優勝を逃し…Bリーグ宇都宮が“理不尽”を乗り越えて「こだわる」ものとは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2020/10/09 06:00
宇都宮ブレックスは、悔しい思い抱えながら新たなシーズンを走り始めた
「ブレックス・メンタリティー」をつきつめて
「総合的には2日間、本当にファイトしたと思っています」
ブレックスと顔を合わせた琉球の藤田弘輝HCが試合後にそう話したように、昨シーズンの西地区王者・琉球は最後の瞬間まで決してあきらめない集団だった。
そんな相手に2連勝したことは、余計な言い訳をせずに勝利を積み重ねることを目標にしているブレックスにとっては意味のあることだった。
今シーズンはLJ・ピークとジョシュ・スコットという2人の新しい外国籍選手がいるものの、それ以外に新たな選手は加わっていない。変革よりも、成熟や成長が求められる段階に来ている。
だから、安斎はこう語る。
「細かい部分……周りで言われている『ブレックス・メンタリティー』のようなものを40分間、つきつめていかなければ優勝できない。上手くいかないことも試合中にはいっぱいあるじゃないですか? そういうときにもそのメンタリティーだけは持ち続けて、コートに出ていけるかどうか。そこをレギュラーシーズンでつめていって、最後にMAXになっていることが理想かなと。それを続けていけば勝ちは近づいてくる。勝ちを重ねていけば、優勝も狙えるチームになると思うんです。
それを毎試合やらないと。今日は20点差ついたからやらなくていいのかというと、それはおかしい話。そういう選手はうちにはいらないという考え方ですし、それを40分間やれるチームになりたいです」
レギュラーシーズンの勝ちにこだわる理由
思えば2シーズン前。最後に開催されたCS(プレーオフにあたるチャンピオンシップ)の準決勝でのこと。
ジェッツに敗れた後、少し腫れたまぶたでメディアの前にやってきた安斎は全ての質問に丁寧に答えていった。
それでも1つだけ、即答した質問があった。
―― 一部の厳しいジャッジを受けて、CSをホームのブレックスアリーナで開催できていたら……という想いはないのでしょうか。
「でも、それは千葉さんが勝ち取っていることなので。レギュラーシーズン60試合やっていることの意味はそこにあるので」
CSの準々決勝と準決勝の開催地は明確に定められている。レギュラーシーズンの成績が上のチームの本拠地で行なう。そのルールは今シーズンも変わらない。
あのシーズンは、ブレックスは全18チームのなかで2位となる49勝を記録していたが、それよりも3つ多く勝っていたのがジェッツだった。
安斎はルールやフォーマットをリスペクトしている。それがレギュラーシーズンの勝ちにこだわる理由だ。その姿勢は、以前から少しも変わらない。
みんなのために戦うという想いを抱えているからブレないのだ。