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松島幸太朗の快速は“夢の舞台”で通じるか フランス人がラグビーとMATSUSHIMAに興奮する理由 

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竹鼻智

竹鼻智Satoshi Takehana

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photograph byPanoramic/AFLO

posted2020/10/03 17:01

松島幸太朗の快速は“夢の舞台”で通じるか フランス人がラグビーとMATSUSHIMAに興奮する理由<Number Web> photograph by Panoramic/AFLO

新天地クレルモンでも大きな期待を背負う松島幸太朗。早速トライを奪うなど、存在感を示した

サッカーよりもラグビーが人気?

 松島の活躍を占う意味でも、少しクレルモンのチームカラーにも触れたい。

 まず、TOP14はフランス国内最高峰リーグとして1892年に創設された。現在は2部リーグにあたるPRO D2との協働も上手くいっており、地域によっては、サッカーよりもラグビーの方が人気があると言われる。TOP14への国民の注目度は非常に高いのだ。

 国のイメージとは裏腹、激しいラグビーを見せるTOP14だが、そんな中で果敢な展開と華のある連係プレーをDNAとするのがクレルモンのラグビーだ。2018/19シーズンはTOP14プレーオフ決勝戦でトゥールーズに24-18で敗れたが、2016/17シーズンはクレルモンの宿敵とされるトゥーロン(当時、五郎丸歩が所属)を22-16で破り、優勝を果たしている。

 トゥーロンとのライバル関係は歴史を見ても熾烈だ。それはプレースタイルの対極性に起因する。

 華麗さを求めるクレルモンに対し、トゥーロンは強力なフォワード、安定したキッカー、1人でトライまで持っていく個人技をそのDNAとする。欧州クラブ選手権(ハイネケンカップ/欧州チャンピオンズカップ)でもライバル同士の両チームだが、クレルモンは2012/13、2014/15シーズンともに決勝戦でトゥーロンに敗れていた。そのため16/17シーズンの優勝は選手たちにとって、格別のものだったに違いない。

なぜTOP14に世界トップが集うのか

 ところで、なぜフランスには世界中のトップレベルの選手が最も多く集まるのか。

 プロスポーツである以上、その大きな理由に魅力的な「給料」が挙げられるが、ではなぜフランスのトップクラブは世界一とされる高給を選手に払うことができるのか。背景として、その国の経済規模、国内でのラグビーの人気もあるが、もう1つの条件として、サラリーキャップ(リーグによって定められた、各チームが選手に支払える給料の総額)がある。

 世界各国のリーグでは「金を持っているチームが常に勝つ」といういびつなリーグ構造を避けるため、サラリーキャップを設けるケースがある。そして、そのTOP14参加チームのサラリーキャップこそが世界最高額なのだ。

 やや不平等な仕組みながら、TOP14参加チームは約14億円を選手への合計給料の基本上限とし、さらに自国フランス代表へ選手を1人出すごとに、約2500万円の上限アップが可能となる。平均すると、選手への合計給与額だけで17億円を上回るのがTOP14の相場だ。

【次ページ】 プレミアリーグと比べてみると

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