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松島幸太朗の快速は“夢の舞台”で通じるか フランス人がラグビーとMATSUSHIMAに興奮する理由
posted2020/10/03 17:01
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph by
Panoramic/AFLO
昨年のラグビーW杯で5トライを挙げ、世界から大きな注目を浴びた松島幸太朗。今夏、ラグビー界きっての“金満リーグ”とも呼ばれるフランス1部リーグTOP14の名門クラブ、ASMクレルモン・オーヴェルニュが日本屈指のランナーに食指を動かし、獲得が実現した。
クレルモンの今季最大の大物移籍選手として紹介された松島。シーズン開幕前になると『レ・キップ紙』をはじめとした主要スポーツメディアには「Kotaro Matsushima」の名前が多く躍った。
「グラウンドや素晴らしいトレーニング設備に感銘を受けた」「クレルモンでの試合がプライオリティ」というクラブ合流時の松島の言葉が紹介されれば、サントリーサンゴリアスでともにプレーした名手マット・ギタウ(元豪州代表、スタンドオフ/センター)から「クレルモンのポジティブな話を聞いていた」というコメントも掲載されていた。ギタウはTOP14のトゥーロンで6年間プレーした経歴があり、フランスのラグビーファンにもよく知られた名前だ。
ずり下がった短パンを戻す余裕
ディフェンスのギャップを見つける目、スペースを駆け抜けるスピード、一瞬でディフェンダーを置き去りにするサイドステップ。TOP14でも178cm、87kgという体格は軽量級だが、キャリアを重ねるごとにその体幹の強さは増し、大男たちから強烈なタックルを見舞われてもそう簡単に倒れない。世界のトップレベルで堂々と戦えるだけのモノを持っていることはW杯で証明済みである。
松島はその大きな期待に応えるかのように、早速、存在感を遺憾なく発揮している。
デビュー戦となったトゥールーズ戦では前半16分で負傷退場となったが、開始早々に見せた一発のラインブレイクが、フランスじゅうのラグビーファンの目を釘付けにした。スクラムからの一次攻撃で相手センターの外をスピードで抜き去り、掴まれてずり下がった短パンを走りながら戻そうとする“余裕”は、フランス語ソーシャルメディアでも話題になった。
負傷の回復状況や練習での動きがスポーツ紙で取り上げられるのも納得できる。