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松島幸太朗の快速は“夢の舞台”で通じるか フランス人がラグビーとMATSUSHIMAに興奮する理由
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byPanoramic/AFLO
posted2020/10/03 17:01
新天地クレルモンでも大きな期待を背負う松島幸太朗。早速トライを奪うなど、存在感を示した
「素晴らしいステップ!」
負傷が回復して臨んだ19日の欧州チャンピオンズカップ準々決勝でもスタメンに名を連ねた松島は、ここで初トライをマークする。
後半29分。33-15と劣勢に立たされたクレルモンだったが、敵陣でフェーズを重ねると、ゴールまで約8メートルのラックから出たボールを受け取った松島は、外へのパスダミーを入れた後、内へ鋭いステップで切り込んだ。最後のタックラーを完全に置き去りにし、インゴールへ飛び込んだ。
「素晴らしいステップ! 日本人が、その名をヨーロッパに残した!」
TV中継の解説者も、大物移籍選手の新天地での初トライを興奮気味に伝えた。
しかし、チームはパリを本拠地とするラシン92に36-27で敗れ、松島自身にも課題が散見された。
前半、自陣ゴール前で大外がガラ空きになって奪われたトライと、後半に相手ウイングとキック処理で“お見合い”となって献上したトライは、客観的に見てフルバックとして大きな反省点だろう。
連係はこれから、スタメンは信頼の証
ただ、たった2試合で連係プレーの問題を責めるのは、酷だ。
まだフランス語は「ラグビー用語は覚えた」程度。英語が話せないチームメイトも多く、連係プレーが難しくなるのは仕方がない。一方で大事な試合でクレルモンのフルバックでスタメンに名を連ねるほど監督の信頼を得ているのは間違いない。文化面も含めてフランスのラグビーを理解したいと抱負を語るだけに、連係向上の意欲は高いと見ている。日本時間3日夜に行われるTOP14アジャン戦は怪我の影響でメンバー外となったが、今後の活躍に期待したい。