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南野拓実とリバプール同僚の「2年目」は、誰にとってもキャリアの勝負所
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2020/09/28 08:00
カラバオ・カップで3部相手ながら2得点を奪った南野拓実。次は限られた時間の中でリーグ戦初ゴールが欲しい
“2年目”直近の成功はファビーニョ
最後は、ケイタと同じ2018年の夏にモナコから加入したファビーニョだ。
今でこそレッズの中盤に不可欠な存在だが、加入当初はなかなか出番が与えられなかった。水に慣れるまでゆっくり時間をかける、というのは今やクロップお馴染みの適応術ではあるが、ファビーニョは時間がかかりすぎた印象がある。
リーグ戦は第9節ハダースフィールド戦で途中投入されるまで出番なし、CLでも終盤に少しだけ出番が与えられるだけだった。
ただ徐々に出場機会を増やすと、ファビーニョが『スカイスポーツ』のインタビューに「自信がついた」とターニングポイントに挙げた第17節マンチェスター・U戦で、傑出したパフォーマンスを見せる。
それ以降レギュラーに定着したファビーニョはリーグ戦28試合に出場し、CL制覇にも貢献した。
そして2年目は開幕から本領発揮。本職のアンカーでチームを攻守にわたって支える活躍を見せた。ボール奪取に攻撃展開、マンチェスター・Cとの大一番で見せた強烈ミドルは、どれをとってもリバプールに欠かせないものだ。
左足首の靱帯損傷で戦列を離れた期間もあったが、リーグ戦28試合に出場しクラブに30年ぶりのリーグ制覇をもたらした。
チームへのフィットに苦しんだファビーニョがここまで成長できたのは、1年目でプレミアリーグを知り、クロップのサッカーを習得したからだろう。
「1年目が学びと適応の期間になるだろうということは知っていた。そこまで長くはなかったけど、(新しいクラブで)最初から始めるというのは簡単ではなかったし、数試合はメンバーから外された」
自身はクラブ公式のインタビューで加入1年目をこう振り返っている。チェルシー戦ではセンターバックを務めるなど、今や守備において替えのきかない選手ですら、すぐにリバプールのサッカーに馴染むことは難しいのだ。
チアゴに続きジョタも加入!
南野の“先輩”たちはリバプールでそれぞれの壁にぶつかってきた。加入わずか2日後のチェルシー戦で、まるで何年も一緒にプレーしてきたかのようなパフォーマンスを見せたチアゴは例外だ。彼はすでに完成されたワールドクラスだ。
また南野を取り巻く周囲の状況も刻一刻と変化している。
チアゴ加入の翌日には、ウルブスのディオゴ・ジョタがリバプールのユニフォームに着替えた。前線ならどこでもこなせる選手で、4-2-3-1のシステムでもトップ下でプレー可能。南野のポジション争いはますますハードになってきた。
クラバンのように押し出されるのか、ファンダイクやファビーニョのように揺るぎない立場を確立するのか、もちろん負傷は誰も望みはしない――。
南野拓実、リバプールでの今後のキャリアを占う勝負の2年目はキックオフしたばかりだ。