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堂安律「違いを生み出せる選手に僕はなりたい」志高きビーレフェルトの起爆剤となれ
posted2020/09/26 11:40
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images
「本当に攻撃を機能させるためにパスを出しているのか? それとも『ティキ・タカ』をしようとしているだけなのか?」
ペップ・グアルディオラ監督の言葉なのなら、よくわかる。
でも、圧倒的に資金力で劣るチームの練習場で選手に投げかけられる言葉だとしたら……。
少し、意外に思えるはずだ。
彼らに、お金はない。2017年には破産寸前になった。
90年代には、あのFCバルセロナの本拠地カンプノウが新しい電光掲示板を設置するタイミングで、それまで使用していた旧式のものを譲り受けた“伝説”もある。
現在の選手の市場評価額の総額は3400万ユーロ。8億3795万ユーロと、ブンデスリーガで最高を記録するバイエルン・ミュンヘンの約25分の1の規模だ。同じタイミングで1部に昇格したシュツットガルトの7975万ユーロの半分にも満たない。
お金があってテクニックに優れた選手を集められるわけではなくとも、高い志をもったフットボールに取り組もうとしている。
それが、アルミニア・ビーレフェルトである。12年ぶりにブンデスリーガ1部の舞台に帰ってきたチームだ。
意図のないロングボールを蹴らずに
彼らは昨シーズン、2部で異色のフットボールを披露した。そして圧倒的な強さを見せつけ、大舞台へ戻ってきた。シーズンでわずか2敗、2020年に入ってからは1度も敗れることなく昇格を決めた。
そんな彼らの狙いははっきりしている。
決して、意図のないロングボールは蹴らない。でも、パスをつなぐことを目的とした「ティキ・タカ」も論外だ(実はペップ自身もこの言葉は理想と本質を異にするものとして嫌っているのだが)。
意図を持って、パスをつなぎ、ゴールに迫るフットボールをしよう。
ボール支配率にはこだわらない。でも、パスをつなぐことにはこだわろう。
そのためには、まず、キーパーから……というのがビーレフェルトのサッカーだ。