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西川周作「40歳までプレー&楢崎超え」 “キックの先駆者”の若手GKへの闘志と金言
posted2020/09/25 11:40
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE
JリーグのGK界にちょっとした変化が起こっている。
今季に入り、過去に例を見ないほどの多くの若手GKたちがJ1デビューを飾り、出番を掴んでいるのだ。
鹿島アントラーズで守護神の座を勝ち取った沖悠哉は1999年生まれの21歳。今年20歳を迎える世代で言えば、期限付き移籍先の湘南ベルマーレで出場を続ける谷晃生やリーグ再開当初は立て続けに抜擢された清水エスパルスの梅田透吾がいる。昨年から世代別代表に選出されるなど、一躍注目を浴びるベガルタ仙台の小畑裕馬は今年の11月で19歳となる。
経験がものを言うはずのポジションに、何が起こっているのか。
「今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で降格がなくなった。その時点でベテランの選手というのは危機感を人一倍持たないといけないなと感じていました。もし、自分が監督だったらこのタイミングで若手を使って、世代交代というか、将来を考えて起用すると思うので。それに浦和もチームとして“3年計画”を掲げているので、いつ僕が替えられてもおかしくない状況なのは理解しています」
こう語るのは、今年で34歳になった浦和レッズGK西川周作だ。
彼もまた、19歳になる2005年から出番を掴み、守護神の座を勝ち取ってきた男である。
30歳を過ぎてからわかってきた「経験」の重要性
「若いうちからいろんな経験をするのはGKとして非常に大事だと思います。20代前半のころは『GKは経験が必要だ!』という言葉の意味がよくわかりませんでしたが、30歳を超えてから、経験がプレーの余裕を生んでくれるんだなと、ようやく思えるようになりましたね」
育成組織からトップ昇格を果たした大分トリニータ、Jリーグ優勝を経験したサンフレッチェ広島、そして浦和と渡り歩いてきた西川は、どのクラブでも守護神の座をガッチリと掴んできた。彼のように10代からこれほどコンスタントに出場機会を得ているGKは限られるだけに、その言葉の意味は重い。
GKに与えられた枠はたった1つ。なかなか出番が得られず、不遇の時を強いられる選手も少なくない。前述した若手GKのなかで突出した存在である日本代表GK大迫敬介(21歳・広島)も1年目の出場はゼロだった。
西川は昔を振り返りながら続ける。