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53歳カズ、42歳中村俊輔、39歳松井大輔 川崎Fをいなしてかわす“マイウェイ力”
posted2020/09/25 17:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
今、売り出し中の若手と中堅主体の首位川崎フロンターレとスタメン年齢31.9歳でベテラン主体の横浜FC。目指すスタイルは似ているが個々の力に差がある。その差を埋めて、勝つために3人のベテランが踏ん張った。
この試合、大きくクローズアップされたのが、三浦知良だった。
今季、リーグ戦初スタメンで出場し、これまでJ1最年長出場記録を保持していた中山雅史の45歳2カ月を大きく更新、53歳6カ月という新記録を達成した。この記録はこの先、おそらく破られることはないだろう。新記録に華を添えるように42歳の中村俊輔、39歳の松井大輔らベテラン選手もスタメンで出場した。3人が同じピッチに顔をそろえるのは、横浜FCのクラブ史上初である。
攻める川崎Fに対して「安全なビルドアップを」
試合は、押す川崎F、冷静な横浜FCの展開になった。
川崎Fは、人もボールもスピーディーに細かく、よく動く。ただ、この日は鬼木監督が試合後、「今日は丁寧にやるところ、しっかりチャレンジするところとの使い分けができていなかった」と苦言を呈したように、全体的に早く前への意識が強かった。
一方、横浜FCは、中盤に松井と中村が入り、安全運転でプレーしていた。
GKから前へとつなぐ中、松井、中村、佐藤謙介らは無理せず、ボールを失わないように丁寧なビルドアップを心掛けていた。そこで失えば川崎Fの攻撃力を考えると、即失点につながる。下平監督からも松井に「安全なビルドアップを」と指示が出ていたという。ミスがないように中盤の構成を考えた下平監督の選手起用は前半、セットプレーのこぼれ球を松井と中村が厳しく詰め切れず、田中碧に決められたこと以外、ハマっていた。
中村俊輔、松井大輔、三浦知良が見せた「技術の高さ」
試合では3人とも長年現役でいられることの理由をプレーでみせてくれた。
中村は、ボールを保持した時間の作り方がうまく、キックの精度が相変わらず高い。例えば中村から逆サイドの松尾佑介へのサイドチェンジは通ればチャンスに繋がるので、かなり警戒されており、厳しくチェックされていた。それでも仕事をするのが中村で、CKから小林友希のゴールを生んだボールはスピード、落差ともにGK泣かせの一級品だった。