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錦織圭欠場も異例づくしの全米開幕。
影響必至の暫定ランキング制度とは。
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byGetty Images
posted2020/08/30 11:50
全米オープン参戦を決めたジョコビッチ。暫定ランキング制度の中でも強さを見せつけるか。
西岡は全米に全精力を注ぎ込む。
西岡良仁は昨年、予選から出場して8強入りと大活躍したマスターズ1000のウエスタン&サザンオープン(米国)に今年は出場しなかった。昨年の獲得ポイントが残るため、「そこまでプッシュしなくてもいい」と、全精力を次週の全米に注ぎ込むと決めたのだ。
昨年の全米は2回戦止まりだったので、今回、3回戦以上に勝ち上がればポイントを大きく積み上げられる。こうして、選手たちは出場する大会を戦略的に選ぶことになるだろう。
昨年の成績をにらみ、ここは上位進出をねらって「プッシュ」する、この大会は欠場して次に備える、この大会は結果を気にせず思い切りやってみる、という具合にメリハリをつけて大会に臨むはずだ。
ポイント失効がない安心感は試合内容にも影響するだろう。「みんな、ノンプレッシャーでプレーすると思う。試合の雰囲気が変わる」と西岡は戦況の変化を予測する。伏兵あるいは戦績にムラのある選手が躍進し、ツアーのパワーバランスが変わる可能性もないとは言えない。
前哨戦では番狂わせが起きている。
ツアーが約5カ月間も休止されるという未曾有の事態。なんとか再開されたものの、ツアーの新しい日常に臨む選手がかかえるストレスは、いかばかりか。
ウイルス感染を避けるために人との接触を断ち、仮想の「バブル」の中で過ごす日常が、楽しいものになるとは思えない。線審やボールパーソンの削減なども含めて、こうした違和感が積み重なって選手の心を蝕むだろう。
一方でツアーの混沌をチャンスととらえる選手もいるだろう。全米前哨戦のウエスタン&サザンオープンでは、男子シングルス第2シードのドミニク・ティーム、女子の第3シード、セリーナ・ウィリアムズといった優勝候補が早々に敗退した。番狂わせの続出する、荒れた大会がまだまだ増えるのではないか。
特に上位選手には、例年以上にメンタルタフネスが問われるシーズンである。