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CLも制した無敵の3冠バイエルン。
ドイツ「1強時代」はまだまだ続く?
text by

島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/08/27 20:00

各国クラブを完璧に叩きのめしてCL王者に輝いたバイエルン。3冠も納得の充実ぶりは来季も続くか。
絶対王者に対抗できるクラブは?
今季限りでの移籍が取り沙汰されているチアゴ・アルカンタラが、パリSG戦で途中交代した後にスタンドから声を嗄らして仲間を鼓舞する姿には心を打たれましたし、インテルからの期限付きで加入しているペリシッチが、同ポジションで先発したコマンの決勝点に歓喜の雄叫びを上げた姿からも、このチームの揺るぎない団結力がうかがえます。
そんなバイエルンに、2020-21シーズンのブンデスリーガでは太刀打ちできるチームが現れるのでしょうか?
昨季バイエルンに土を付けたのはホッフェンハイム、フランクフルト、レバークーゼン、ボルシアMGの4チームです。
ただし、フリック体制のバイエルンに勝利したのは先述したとおりレバークーゼンとボルシアMGだけ。バイエルンはその後、DFBポカール決勝でレバークーゼンに、そしてブンデスリーガ第31節でボルシアMGにリベンジを果たしています。
ナーゲルスマン率いるライプツィヒは。
そんな絶対王者バイエルンが唯一勝てなかったチームが、若きナーゲルスマンが率いるライプツィヒで、その戦績は2戦2分でした。
ちなみに今季、バイエルンがノーゴールに終わったのはブンデスリーガ第21節・ライプツィヒ戦のスコアレスドローのみ。その点を踏まえると、もしCL準決勝でライプツィヒがパリSGを下してバイエルンとの頂上決戦に挑んでいたら、また異なる試合展開が楽しめていたかもしれません。
バイエルン攻略の鍵は、ハイラインを築くバックラインの裏を突くことであることは様々な指揮官や識者の間で囁かれています。ただ、それでもバイエルンは一切後退せず、チームコンセプトのひとつでもあるハイプレスワークを駆使して相手を圧倒し続けます。
ブンデスリーガでのバイエルンは、ほぼワンサイドでポゼッションしてプレーする傾向が強く、対戦相手は一縷の望みを託してカウンターを発動する隙を窺うのが常となっています。
フリック体制のバイエルンに2-1で勝利したボルシアMGのゴールは、いずれも左SBのラミー・ベンセバイニが挙げたものでしたが、そのゴールパターンはCK、PKとリスタートからでした。
ただ、バイエルンがPKを献上したのは相手FWマルクス・テュラムの突破をMFハビ・マルティネスが後方から倒したもので、バックライン裏を突かれた結果。またレバークーゼンが勝利したゲームではいずれも快速ウインガーのレオン・ベイリーがバイエルンのバックラインを鮮やかにラインブレイクして2得点。やはり、バイエルンの守備網はハイラインにリスクを抱えていそうです。