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新米ランパード監督が証明した手腕。
「失せろ!」と吠える強気さも魅力。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/08/01 09:00

新米ランパード監督が証明した手腕。「失せろ!」と吠える強気さも魅力。<Number Web> photograph by Getty Images

クラブのレジェンドが監督としても成功するのは意外と少ないパターンだけに、ランパード監督のチェルシー1年目は十分合格点と言える。

3バックも併用する戦術的な柔軟性。

 いわゆる戦術家タイプではない。それでも開幕戦に4-2-3-1システムで臨んだシーズン、最終節を3-4-2-1で終えているように柔軟性は備えている。監督としてプレミア初挑戦シーズンのベストゲームを選べば、ジョゼ・モウリーニョ率いるトッテナム戦で、3バックの採用が奏功して完勝(2-0)を収めた18節でのアウェーゲームになる。

 その翌週、同じく敵地でのロンドン・ダービーとなった20節アーセナル戦(2-1)では、逆に前半34分の選手交代時に3バックから4バックに陣形を変え、形勢とスコアの逆転に成功している。

 早期交代策など勝負師的な側面は、そこから頻繁に顔を出す。最たる例は公式戦再開後、選手交代枠が5名に増えたFA杯準々決勝のレスター戦(1-0)だ。

 ランパードは、無得点で迎えたハーフタイムでの3枚代えに出た。それも、マウント、ギルモア、ジェイムズの若手3名をベンチ下げる厳しい判断だ。その結果は、ジェイムズに代わった右SBセサル・アスピリクエタとの連携からのウィリアンのクロスに、マウントと交代したバークリーが合わせた決勝点だった。

 そうした積極的なベンチワークは、2部での昨季とはプレッシャーが桁違いのプレミアでも、臆せず自分らしく指揮を執っている証拠として評価できる。

ダービー時代から目撃した本来の姿。

 それは昨季、何度か足を運んだダービーの試合でも目撃したランパード監督の“本来の姿”だ。

 リーグ戦4連敗により昇格争い脱落が心配された昨年3月のウィガン戦では、前節からスタメン6名を入れ替えたうえ、57分の時点で2枚代え。すると、投入された2名が同点と逆転のゴールを決めて、プレーオフ進出へと軌道も再修正された(決勝でアストンビラに敗れて昇格はならなかったが)。

 そして逆転勝利後の会見ながら、険しい表情で「内輪の悲観論者たち」を批判した姿も印象的だった。チームを信じ切れない周囲に釘を刺さずにはいられなかった新米監督は、チェルシー指揮官として迎えた今季も、一線を超える相手の行為に黙ってはいなかった。

 37節リバプール戦(3-5)で話題となった、相手ベンチに対する言葉の一撃である。

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