プレミアリーグの時間BACK NUMBER
新米ランパード監督が証明した手腕。
「失せろ!」と吠える強気さも魅力。
posted2020/08/01 09:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
新型コロナウイルスによる中断を経て6月に再開された今季のプレミアリーグは、去る7月26日に完結の日を迎えることができた。
最終節で最も注目を集めたのは、トップ4の残り2枠を巡る三つ巴の争いだ。
結果は、敵地での5位レスターとの直接対決に勝利した3位マンチェスター・ユナイテッドと得失点差で4位に終わったチェルシーが、リバプールとマンチェスター・シティの「2強」とともにCL出場権を手にした。
当日、筆者が訪れたキングパワー・スタジアムでは、試合後のウェブ会見で勝利監督のオーレ・グンナー・スールシャールが「非常に大きな成果だ」と上機嫌だった。マンUは、1月後半の24節でバーンリーに敗れてホームのファンからブーイングを浴び、翌節終了後には、当時3位のレスターと14ポイント差の7位に落ちていながら、プレミア第2集団の先頭で2年ぶりのCL復帰を決めたのだ。
マンUと補強事情が大きく違った。
一方のチェルシーは4位で年を越し、34節でレスターを抜きながら3位を維持することができなかった。しかし、フランク・ランパード新体制下の4位は、マンUの3位に勝るとも劣らぬ成果と言える。
互いに現監督の下で初のフルシーズンを戦った両軍だが、スールシャールは暫定指揮を執った昨季半ばからの続投。祖国ノルウェーのモルデでスタートした一軍監督歴は10年目を迎えている。対して年齢も42歳で5つ下となるランパードは指導者キャリア2年目、プレミア1年生監督だった。
また、マンUの巻き返しは今冬の補強が一大転機となっている。
前々回のコラムで触れた、ブルーノ・フェルナンデスの加入インパクトがあったからだ。ところがチェルシーは、エデン・アザールが抜けた昨夏にはFIFAによる補強禁止処分により新戦力獲得が許されず、処分が解けた今冬はクラブが買い控えた。
つまり、マンUとチェルシーとでは状況がかなり違っていたのだ。